J1第2ステージ第5節 浦和-横浜FM(0-3)

第2ステージの優勝を狙うには両チームとも負けてられない試合。浦和は内館が最終ラインに入っている以外はベストなのに対し、横浜は河合、栗原、清水、坂田とサブだらけの苦しい布陣。
しかし横浜はいきなり2分に栗原のスルーパスを内館の前にうまく入り込んだ坂田が角度のあまり無いところからそのままシュート、これがミートはしなかったもののうまく浦和GK都築の届かないコースに転がって先制する。
そこからははほとんど横浜ペース。横浜は3バックながらコンパクトな陣形で、FWと中盤の縦の早いパス交換からサイドのスペースに飛び出すオートマティズムなスピード溢れる速攻と、DFからサイドに流れたFWへのフィードを使い分けて浦和の守備を混乱させ、守備ではバイタルゾーンを圧縮した2ラインの形をとり、高い位置から連動したプレスでボールを奪うという隙の無い試合運びを見せる。
浦和はボールを持っても周りの動き出しが無く、中盤でちんたらボールを回してエメルソンに集めては厳しいマークでボールを奪われ、山田がドリブルで上がる事はあっても立ち止まって考えて結局パスミスと、まるでどこぞの代表を思わせるような意思統一のかけらもない攻撃しか出来ない。前半の最初のバーに当たったエメルソンのヘッド以外、全く点の可能性の無い攻撃に終始した。
後半になると今度は一転して浦和のペースに。横浜はやや疲労が出てきたのか、中盤のプレスが甘くなってサイドに開いた浦和のFWに簡単にパスを通され、そこから途中交代で入った浦和の3トップの個人技で突破される場面が続く。しかし決定的な場面もシュートが良いコースに飛ばずに浦和は攻めながらも得点出来ない。
こうなると必ず逆目が出るのがサッカーの法則で、後半29分にカウンターから右サイドの1対1で粘り勝ちしたユサンチョルが中央に抜け出したFWめがけてアーリークロス、これをマルキーニョスが落ち着いて流し込んで横浜が絵に描いたような追加点を上げる。ロスタイムにも平川からボールを奪った坂田がドリブルで持ち込んでシュートしてジエンド。
個人能力で負けていた横浜が大勝できたのは、ひとえに自分達の攻守のカタチに対する意思の統一性にあったと言える。それを苦しいときでも頑なに貫き通した横浜と最後まで個人に頼るしかなかった浦和でこのような差が出たのは、サッカーと言うゲームの本質を表していると言えるのではないだろうか。