ツールドフランス豆知識


レース概要
自転車レースには1日で完結するいわゆるワンデーレースと、何日かのステージの総合タイムで争うステージレースとに大きく分けられる。ツールドフランスはその中でも最大級の格式と歴史を誇るレースで、7月14日のフランス革命記念日とそれと同時に行われるパリ祭に合わせた日程で行われる。
各賞解説
ステージレースは、総合タイム争い以外にもいくつかの賞が設けられ、選手は自分の役割に応じてそれらの賞の獲得を目指して走っている。もちろん各賞は最終ステージ後に順位が確定するのだが、各ステージ終了時点で各賞トップにいる選手には決められたジャージが与えられ、その選手は翌日のステージではそれを着て走らなければならない。種類は以下のとおり。

マイヨジョーヌ:黄色のジャージ。それまでに行われたステージを合計して最も走破タイムが短い選手に与えられる。当然、ツール優勝者とは最後にこのジャージを着ていた選手と言う事になる。
マイヨヴェール:緑のジャージ。各ステージのゴール順位やコース途中に何箇所か設けられたスプリントポイントの通過順位によって与えられるポイントの獲得合計が最も多い選手に与えられる。通常、平坦なステージでのゴール勝負に強いスプリンターと呼ばれる選手が獲得する。
マイヨブランアポアルージュ:白地に赤い水玉のジャージ。峠の頂上に設けられた山岳ポイントと呼ばれる地点を通過した順位によって与えられるポイントの合計のトップの選手が着る。山岳ポイントは登りの斜度や距離によって4級から超級まで分かれており、当然超級でのポイントが最も高い。クライマーと呼ばれる山に強い選手の目標である。

他にはある年齢より下の選手の総合タイムで与えられる白いジャージの新人賞や、チームの上位3人のタイム合計で争われるチームタイム賞、各ステージでの勝利賞などがある。
チーム構成
各チームは9人のメンバーで構成され、通常はゼッケン番号1ケタ台の数字が1になっている選手をチームのエースとし、他の8人は基本的にそのエースを勝たせるためのアシストとして存在する。チームによっては、各ステージのゴールを取るために一瞬のスピードに強いスプリンターを置いたり、エースとは別に長い逃げを得意とする一発屋を置いたりする事もあるが、その配分は各チームによって様々である。
ステージ構成
各ステージは、大きく分けて平坦ステージ、山岳ステージ、タイムトライアルの3つの種類に分けられる。平坦ステージは文字通りコース全体が平坦なステージ、山岳はアルプスやピレネー山脈地帯の2000m以上の峠を何度も越える過酷なステージである。タイムトライアル(TT)は選手一人一人が一定の時間差でスタートし、単独での走破タイムが争われる。ツールでは全ステージのうちTTが3ステージ、山岳が6~8ステージ、残りは平坦となるのが普通である。
基本戦略
自転車レースは、基本的に空気抵抗との戦いである。当然、人の後ろで走ったほうが楽なので、アシストはエースの風除けとなってチーム単位で小集団を形成し、さらにそれが集まって大集団となる。この形からどう変化して行くかというのがレース展開だが、ステージの性質によって戦略が変化する。

平坦ステージ:平坦なので空気抵抗の有無でスピードの差が出やすい。かと言って集団のままでは最後のダッシュなら誰にも負けないスプリンターが勝ってしまう。それを避けるために集団からの逃げを皆画策するのだが、先頭を走ると言う事は空気抵抗を一身に受けるために簡単には行かないのが普通である。運良く複数の選手である程度集団を引き離す事が成功すれば逃げが決まったと言われる。後ろの集団は逃げた選手に対するタイム差や力量、さらには逃げた選手が自分たちのエース選手より総合でどれくらい離れているかなど様々な要素を計算に入れながら、集団の先頭を引っ張るタイミングやスピードをめぐってチーム同士で駆け引きが行われる。それを推理するのもファンの楽しみである。
山岳ステージ:空気抵抗よりも重力が影響するので、平坦ステージよりも逃げが成功しやすい。それは同時に集団でいるメリットが下がる事を意味するので、選手個人の力の差が出やすいステージと言える。特に頂上ゴールは下りでアシストを利用して差を詰める機会が後ろに無いために、最後の登りではエース同士の熾烈な白兵戦が展開されるのが普通である。坂に弱い選手にとっても、あまり遅れすぎるとタイムオーバーの危険があるためにTVからは見えないところで必死である。観客にとってもエースが間近で見れ、しかも選手のスピードが落ちる坂道は絶好の観戦ポイントであり、沿道は常に大勢の人でごった返している。その独特な雰囲気と勝負どころと言う両方の点でステージレースのハイライトと言える。
タイムトライアル:一人一人が時間差でスタートし、なおかつ人の後ろに付く事が禁止されているので、純粋に選手個人の力量が問われるステージである。総合タイムが悪い順にスタートするので、レース最後に本当の盛り上がりが来る。総合優勝を果たすためには、このTTと山岳の両方に強い事が必要条件であると言える。

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