CL二次リーグ バレンシア-アーセナル(2-1)

レアル対ミランがポゼッションサッカー同士の戦いだとすれば、こちらは欧州を代表するコレクティブカウンターチームの戦いというこれまた興味深い対戦。
試合開始から当然のように、コンパクトな中盤のプレスからボールを奪ってカウンターというシーンが連発する。その序盤はアーセナルが早いパス回しでバレンシアのプレスをかいくぐってサイドからアンリやヴィルトールが惜しいチャンスを何度か作っていく。しかし押されていたバレンシアも、すぐにプレスをアーセナルの選手間を通すパスに網をかけて待ち構えるようなやり方に修正し、今度はバレンシアの方にチャンスが生まれ始めるといった目まぐるしく戦況が変わる展開。
そして28分にCKからジウベルト・シルヴァがフリーでヘッド、しかしこれがゴールマウス内にいたヴィセンテにぶち当たり、それがまたクロスバーに当たってノーゴールという不運がアーセナルに起こる。結果的にここで運命の歯車が回ってしまった。
そして33分に中央でのワンツーからアイマールがなぜか右でフリーになっていたカリューにスルーパス、これをカリューが落ち着いて決めてバレンシアが見事に先制。そこからはスタンドの声援を受けて完全にバレンシアペースになる。アーセナルはバレンシアのルフェテやヴィセンテの個人技についていけず、サイドの戦いで完全に劣勢になってしまってアンリまでボールが回らない。
このままバレンシアペースが続くかと思ったら、後半開始早々に中央のピレスから右に抜け出したアンリにスルーパスが通り、そのまま落ち着いてファーサイドに同点ゴール。そこまで集中して守っていたバレンシアのマークが一瞬ずれてしまった瞬間だった。
しかし今日のアーセナルはペースが長く続かない。後半12分、アーセナルゴール前のこぼれ球をことごとく拾ったバレンシアがサイドから連続攻撃、最後にはヴィセンテからの左クロスをこれまたカリューが難しい体制からヘディングゴールで勝ち越し。
25分過ぎからは中盤にスペースが空き始めるが、それでもアーセナルの攻撃に全く迫力が無く、ピレスがシミュレーションを取られたシーン以外はほとんど同点に追いつく気配を感じないままに試合終了。
試合を分けたポイントとしては、試合途中であってもプレスのかけ方を自分たちで変更できるバレンシアのうまさ、そしてベルカンプが不在なのにもかからわずカヌをベンチに置いて、トップでのキープを放棄した事でサイドも殺してしまったように見えるアーセナルの不可解なゲームプランだったように思う。