「既に主力の風格」ヨーロッパリーグ グループH インテル-ネフチ・バクー

既に最終節を待たずして2位通過が決まっているインテルのヨーロッパリーグ最終戦。当然ながらガチガチのターンオーバー試合になるわけだが、さらにストラマッチョーニ監督は4バックの前全員を20歳以下の選手にするという思い切った起用をしてきた。
4バックも、年こそ食ってるがペレイラ、カンビアッソ、サムエル、ジョナタンという本来のスタメンポジションはサムエルだけという布陣で、前線に至ってはかろうじてサブと言えるのがリヴァヤとコウチーニョぐらいで、後は全然名前も知らない選手ばかり。
そんなメンバーだから仕方ないのかもしれないが、インテルはペレイラのアーリークロスに対するカットをミスしたボールをリヴァヤが決めて先制したのはいいが、後はネフチにボールを支配されてしまう。守備の組織やコンビネーションが出来ていない上に、やはりユース年代の選手は1対1での守備が甘く、ボールホルダーに体を寄せてもなかなかボールが奪えずにつながれてしまう。
後半からカッサーノを入れてテコ入れしようとした瞬間にミドルを決められて同点にされると、ここで満を持して長友投入。と、左SHの位置に入った彼はすぐにサイドをガンガン駆け上がり、1分後にはリヴァヤにドンピシャのクロスを上げてアシストを決めてしまう。
今までの長友だったら、相手を完全に抜き切ってから体を捻ってのクロスしか出来なかったために、どうしてもファーサイドにふんわりと飛ぶ起動のボールになってしまっていたのだが、いつの間にかカッサーノばりに半身の状態から低く飛ばすテクニックを身につけていて驚いた。これなら、相手を抜ききらずにクロスを上げることが出来るので、より長友の攻撃に幅が出てくるはずだ。
そのプレイ以外でも、この試合での長友はSHでありながらかなりボールサイドに寄ったポジショニングをしており、相手のレベルもあるがその密集地帯の中で、落ち着いたボールさばきとゲームメイクをしており、インテル加入当初のボールを持ったらオタオタしてすぐにバックパスをしていた彼を知っている身にとっては、隔世の感があると言うか、押しも押されぬインテルの主力選手になったんだなと瞠目せざるを得なかった。
まあ、後半30分を過ぎるとインテルに疲れが見え始め、最後はカンビアッソとペレイラが気を抜いた対応で同点に追いつかれてしまったが、ナポリ、ラツィオと続く勝負どころに向けて、カッサーノや長友が好調を維持している確認が出来たのは心強いところだろう。あとはミリートが調子を取り戻せば、というところだろうか。