「鹿島の老獪さにしてやられる」ナビスコカップ決勝 清水エスパルス-鹿島アントラーズ

シーズン前半での鹿島の迷走を見ていた頃からすると、それが本当のジョルジーニョ監督が意図していたものかどうかは微妙な気がするが(笑)、結果的に見れば鹿島の戦略がズバリとはまった試合になった。
鹿島は、2列目の左右に遠藤、柴崎というサイドプレイヤーでない選手を配して来たのだが、その狙いは明らかに清水の強みであるサイドアタックをどう封じるかというところにあった。
試合が始まってみると、案の定清水はサイドを中心に鹿島を攻め立て、大前や高木がサイドから中に入って基点を作り、そこにSB吉田らがオーバーラップを仕掛ける攻撃を繰り出して来たが、鹿島はそこで全く慌てず、西と昌子がしっかりとチェイスしてクロスのコースを限定しつつ、1トップのキムをCB陣がきっちりと消し、攻められている割にはほとんど危険なピンチを作らせなかった。
そして攻撃では、すっかりポストプレイの安定感が増した大迫を中心に、2列目が中でフォローする形に専念し、サイドアタックを捨てて清水に連続攻撃をさせない戦略で、前半は試合を膠着させながら狙い通りに無失点で乗り切った。
後半から鹿島は、前半はカウンターで存在感が出せていなかった興梠に代えてドゥトラを投入して2トップにし、これで前線でポイントが作れるようになって徐々に盛り返しはじめ、73分に柴崎が自ら倒されて得たPKを決めてリード。
その後、何故か自爆した清水の選手が青木にファールをされたと取られる謎の帳尻PKで同点にされるが、延長前半にまたも柴崎がミス(?)っぽい大きなトラップに自ら追いついてシュートを決め、後は鹿島が危なげなく逃げ切って優勝を決めた。
清水は後半ロスタイムから、マンチェスター・シティに練習参加オファーがあったという事で話題を集めている石毛が出場したが、ボールタッチでピタリと足元に止める非凡なセンスを見せはしたものの、バイタルをがっちり固めた鹿島守備の前にさほど有効な働きは出来ずじまい。まあ、まだまだこれからの選手だね。
そして鹿島ではやはりMVPの柴崎。以前から遠藤の跡を継げる選手として将来を嘱望されていたのだが、ここに来て以前のムラやひ弱さが無くなり、かなりプレイに安定感が出てきたように思う。ザックも試合を見学していたようだが、そろそろ国内合宿に呼んでもいいんじゃないだろうか。