「これで勝てたらいいのだけど」イングランド・プレミアリーグ サウサンプトン-トットナム

サウサンプトンのホームとは言え、強豪のスパーズに対して1-2の1点差、それも最後は追いついてもおかしくない怒涛の攻撃を見せたという事で、将来を楽観的に見る人が多くなかったようだが、個人的には正直言って残留について悲観的にならざるを得ない試合だった。
とにかくサウサンプトンの問題を一言で言えば、「攻守において全く組織が無い」事に尽きる。
2失点目などが典型例で、甘いマーキングからカウンターを許すと、サウサンプトンの選手が2人いたのにアタックとフォローの関係が無くて真ん中を突破され、ファーサイドから中へ切れ込んできたデフォーを右SBクラインもフォンテもスルーしてしまい、吉田の背後からやすやすと飛び込まれてしまった。
後半の攻撃も、結局は人数をやたらとかけてはセカンドボールを拾ってクロスやミドルをただ打っているだけで、意図した崩しや組み立てはほとんど感じられない。後半に、PAの中で横パスが2つつながるチャンスがあったものの、結局折り返しに誰も反応できずにクリアされてしまったが、バルサだったら確実にメッシが中で合わせてゴールを決めていた場面である。
ただ、1つ明るい点を挙げるとすれば、今はフォンテではなくて吉田がラインコントロールの主導権を握っているように見えることである。そのため、ポストプレイへのアタックとラインが多少は連動するようになって、以前のようにDFラインが並んでいるだけでバイタルガラガラという状態はかなり少なくなった。
もっとも、そこから先の連動が全然ないので、1失点目のように吉田が正面のパスコースを切っても周りがボサッとしていてベイルに対する準備が出来ていなかったように、まずは個人でしっかり止めないとどうしようも無いという状況は変わらない。それを悟ったのか、後半の吉田は頑張ってデフォーやベイルをタックルで止めていたけどね。
日本代表的に見れば、まずは1対1で相手を抑える必要があり、しかもチーム全体の守備統率を吉田が担わないといけない現在の四面楚歌状態は、吉田の経験という意味では逆説的に素晴らしいわけで、個人的な要望としてはこのまま監督が交代せずにギリギリ残留を決めてくれるのがベストなんだけど(笑)、まあそう簡単には行かないだろうけどね。使ってもらっているうちに、他選手との違いをどれだけ出せるか、今後の吉田には求められるポイントだろう。