「見事サンドニでリベンジ!」国際親善試合 フランス-日本

いや~、まさか11年前のトルシエジャパン時代に0-5で惨敗を食らった、同じ相手と同じ場所で勝ってしまうとは思わなかったね。寝不足ですごく眠いけど気持ちのよい朝だ。
とは言え、内容的にはこれで良く勝てたな、というぐらいに課題が噴出した試合でもあった。
特に前半は、試合前に懸念した通りのやられっぱなし状態で、ハーフナー・マイクはスペースに動くわけでもポストプレイに下がるわけでも無く前線で棒立ち状態、中村憲剛は当然ながらボールキープに役立てるはずもなく、遠藤はそれなりに守備で頑張っていたものの、長谷部の試合勘の欠如は深刻で、フランスの中盤への上がりに対して全くフィルターがかけられず、DFラインはずるずる下がってバイタルからどんどんサイドに展開されてピンチを量産してしまっていた。
フランスは4-3-3のフォーメーションだったが、SBのコシールニーらが常時1ボランチの横の位置まで上がっている実質3-4-3のような形で日本のサイドを押しこみ、香川と清武は守備のカバーで低い位置からのスタートにならざるを得ず、ポジショニングも外に張るわけでも中に入るわけでもなく中途半端でフランスのプレスにボールロストを連発。カウンターになっても出足が鈍くてスペースへのパスに追いつけない場面が目立ち、全ての歯車が逆方向に回転していて、フランスに決定力があれば前半のうちに3点取られていてもおかしくなかった。
ところが、酷い出来だった前半を何とか無失点で凌いだことで流れが変わる。後半開始は選手交代が無かったのだが、前半に飛ばしていたフランスがあまり前からプレスをかけて来なくなると同時に、中村が中盤まで下がったりして、日本が低い位置での細かいパス回しでビルドアップのリズムを作りはじめる。
日本が中盤で時間を作っている間にDFラインが押し上げ、香川がフランス守備陣の間にポジションを取って後方からのボールを受けられるようになると、長友の上がりも生きるようになって左サイドでの攻撃が徐々に活性化する。
そしてザックはその潮目を逃さず細貝と乾を一気に投入。細貝の、高い位置から相手を捕まえる積極的な守備、乾のスペースへの抜け出しやドリブルで日本は縦へのエネルギーを取り戻し、ガス欠になったフランスに対して長友がサイドを制圧、日本が左サイドから惜しいチャンスを作り始める。
が、フランスにも攻撃のスペースが出来てカウンターで対抗、40分過ぎにはセットプレイなどから日本ゴールを何度も脅かすが、川島がナイスセーブを連発して耐えきると、88分にフランスCKから日本がカウンターを仕掛け、今野の長いドリブルから当然のように駆け上がっていた長友にパスが渡り、折り返しを香川が相手と交錯しながら押し込んで、値千金の決勝ゴールを決めてしまった。
ザックの後半への戦術修正と交代策が見事に当たったし、勝負としてだけで見れは満点が付く試合ではあったが、アウェイの空気と滑りやすいピッチに戸惑った面があったとは言え、先発がここまで機能しなかったのは非常に頭が痛い。
強豪に対しては、後半から長友を筆頭とした運動量で日本が盛り返せるという目処がついたのはいいが、前半のうちに決壊してしまっては意味が無いわけで、守備力という点でも前線でしっかりボールを収める必要がある。マイクは、オランダでもSHで起用されているようにこれからもあまり過度な期待は出来ないし、前田もこのレベルで仕事をこなせるかどうかは疑わしい。
最悪、岡田ジャパンと同じく本田を1トップにする選択は残されているけども、これから本大会にかけては誰を1トップとして機能させるかが、ザックジャパンにとって危急の課題になった事は間違い無いだろう。次のブラジルはイラクを6-0で粉砕するなど攻撃陣が好調だけに、フランスのように外しまくってくれることは期待できない。日本はチーム全体での守備力が問われる事になりそうだ。