「宇佐美とリベリの小さくて大きな差」ドイツ・ブンデスリーガ第7節 バイエルン・ミュンヘン-ホッフェンハイム

宇佐美にとっては、試合でほとんど起用してもらえずに放出されたバイエルンに対するリベンジの機会となった試合だったが、現実とは過酷なもので、2-0という点差以上に力の差を見せつけられる試合になってしまった。
ホッフェンハイムは、バイエルンに対して出来るだけ高い位置からプレスをかけようという姿勢を見せはしたものの、その時間はほとんど続かず、バイエルンの圧倒的なポゼッションに対してDFラインは低い位置に押し込められたままになり、早いパスワークにマーキングが追いつかずに選手はスペースを埋めるだけで、相手のミスがあって初めてボールを持つ機会を得られるような状態だった。
で、ようやくマイボールにしたかと思ったらすぐさまバイエルンが高い位置からプレッシャーをかけ、ボールは宇佐美ら前線の選手に渡る前に、やすやすとバイエルンが奪い返して振り出しに戻る、の繰り返し。
そんな中でも、宇佐美は2~3度ほどは前を向いてボールを持つ機会があり、その時は切れのあるドリブルでバイエルンゴールに迫ろうとはしていたが、さすがにラームら百戦錬磨のバイエルン選手は決定的な攻めを許さず、リベリの切り返しにスコスコと抜かれていたホッフェンハイム左SBベックのザルっぷりとは格の違いを見せつけていた。
宇佐美は、ドリブルのテクニックとスピードという点ではリベリに引けをとらないものを持っているとは思うが、この試合を見ていても彼とのトータルでの差はまだまだ大きなものがあるな、と痛感されられた。
その1つは、当然ながら胸板だけを見ても倍は違うであろうフィジカルの差だが、もう1つはボールを持った後の判断や思い切り。宇佐美は、時折最初からパスをする選択でプレイしている場面が見受けられたのだが、リベリは自分がドリブルで持ち込む選択肢しか考えず、そのためにどういうボールが来たらどうトラップして前を向くか、という準備が全て頭の中に出来上がっているようで、実際にボールが来てからの迷いや躊躇が全く無く、それがトータルでのプレイスピードの差につながっているように思う。
対峙する選手も、リベリに対して不用意に積めるとワントラップで逆を取られてしまうので飛び込めず、結果的にリベリが自由にプレイできるスペースを与えてしまう事になる。宇佐美は、まだそういう怖さが無いので躊躇なく間合いを詰められ、結果的にバックパスや苦しい体勢での縦パスの選択を強いられてしまう。
もちろん、何でも闇雲に勝負すりゃいいってものでも無いけど、マルチロールな選手は香川、本田と日本には揃っているので、宇佐美にはリベリのように臆せずどんどんガツガツ行く選手になってもらいたいね。