「結果を出し続けてはいるのだが」ドイツ・ブンデスリーガ第5節 フランクフルト-ドルトムント

前期のリーグ王者であるドルトムントとの対戦になったフランクフルトだったが、前半に2点のリードを許しながらも撃ち合いで一歩も譲らず、3-3のドローで価値ある勝ち点1をゲットした。
ドルトムントは、この試合ではレヴァンドフスキの1トップに、ペリシッチ、ロイス、クバが2列目に並ぶ布陣だったのだが、ロイスはほとんど前線に張ったままで2トップのような形になってしまってレヴァンドフスキとの役割分担が曖昧で、しかもロイスが守備をしない割りを食ってギュンドアンがボランチから外されているために、中央を固めるフランクフルトに対してほとんど有効な組み立てが出来ていなかった。
それでもドルトムントが前半に2点取れたのは、いずれもDFからサイドにパスを通してピシュチェクがお膳立てしたものであり、かつて香川がいた時のような攻撃の多彩さはすっかり影を潜めてしまっていた。
後半になってロイスからゲッツェに交代すると、ゲッツェのボールキープ力と狭い地域を抜いてしまうドリブルの打開力で一気にドルトムントにチャンスは増えたが、アンデルソンのつまらないカバーミスをゲッツェに拾われて失点した以外は得点につながらず、逆にフランクフルトが3点取って同点に追いついてしまったのだからサッカーとは不思議なものである。
とは言え、フランクフルトもそれほど素晴らしい内容とは言えなかった。乾は珍しくヘディングによる3戦連続となるゴールを決め、得意のカットインから何度かシュートは放ったものの、それだけ結果を出している選手にしてはまだまだボールが回ってくる回数が少ない。
これは乾のせいと言うよりはチームの問題で、とにかくボランチからの展開がほとんど右サイドに偏ってしまっており、何度も絶え間なくオーバーラップを繰り返す右SBのユングに比べ、左SBのオツィプカはドルトムントの右サイドを警戒しすぎてかほとんど上がりが無く、乾が中央へと位置取りをしないと何も攻撃が作れない有様であった。
まあ、乾も基本的に足元でボールを受けるタイプだし、ドリブルを仕掛けるとカットインからのシュート一点張りなので、今はいいけど相手から研究され始めると厳しくなるかもしれない。結果が出ているうちに、オフ・ザ・ボールの動きや味方との細かいパスでの崩しなど、プレイの幅を広げる努力が欲しいところである。