「ザックの序列基準が見えた?」キリンチャレンジカップ 日本-ベネズエラ

相変わらずザックの親善試合に対するスタンスは堅いというか、サービスや遊びといったものがまるで無い試合だったかなと(笑)。
とにかく、この試合で試されるべきポイントは大きく分けて2つあった。まず1つは、今野、栗原、内田が累積警告と退場で次の最終予選イラク戦に出場できないため、その代役をテストすること。
それについては、見ての通り駒野はコンディションも良さそうで十分合格。伊野波は怪我明けのせいもあって全体的にミスが多かったが、吉田とのコンビはまずまず出来ていた。水本については、失点場面ではもっと早く寄せるべきではあったが、試合の入り具合としてはそれほど悪くなかったと言える。
欲を言えばきりがないけど、いくら欲を出しても日本に吉田以上のCBがそうそう転がっているわけでは無いし、五輪代表も吉田以外は・・・な状態だし、現時点でザックはラインを下げたがる闘莉王のような選手を起用するつもりは無さそうなので、このあたりで妥協しておくしか無いところだろう。
そしてもう1つは、ホームでのイラク戦を想定した、引いた相手を崩すことが出来るかという部分。
ザックが指摘していたように、各選手のコンディションにバラつきがあり、コンビネーションを確認している時間が無かったおかげで、アタッキングサードに入ってからのスピードや迫力に欠ける部分はあったが、サイドを崩して中央に人をかけるという狙いはある程度実現できていたし、香川のミス以外は狭い場所でもボールをきちんとキープしつつ回せていたので、さすがにベネズエラよりは個人能力で劣るであろうイラクに対しての不安は少ないと言える。
試合後には、いつもの宮市と(笑)クラブから招集を批判されていた酒井高徳を使わなかった事に対して、ネットでは批判が沸き起こっていたが、もうだいたいザックがメンバーの起用序列を決める基準は見えてきたように思う。
おそらく、ザックは本田や香川、遠藤といった替えが効かない選手を除けば、各ポジションの選手に対して相当細かい戦術的なタスクを与えているはずで、そのタスクをどれだけ自分のものに出来ているかという部分を見て、選手起用の順番を決めているのではないか。
監督の立場に立った場合、選手の個人的な武器の有無や試合での結果で起用順序を変化させてしまうと、選手がチームに対する戦術意識よりも個人アピールに注力してしまう事になりかねないわけで、ジーコジャパンならともかく、ザックにとってポピュリズム起用は有り得ない選択なのだろう。その辺は、スター優遇を拒否して毎回フラット3の反復練習を課したトルシエや、いつまでも千葉の選手を起用し続けたオシムにも通ずるところがある。
招集は個人の能力が基準、しかし起用は戦術への浸透度が基準という視点で見れば、ちゃんと筋が通っている話だと思うんだけどねえ・・・セルジオ氏を筆頭に相変わらず呼んだら試せの大合唱なのはどうにかならないものか。