「今大会は何故か持ってる関塚ジャパン」ロンドン五輪男子 グループD 日本-モロッコ

結果を知ってから1日置いてモロッコ戦を観戦したのだが、改めて見てもこの難しい相手に良く勝てたなと思った。
特に、開始5分にアムラバトがスルーパスで完全に抜け出た場面は、相手のコントロールミスで助かったが完全に1点もので、もしここで点を決められていたら日本は相当攻めあぐねることになったのは確かだっただろう。トゥーロンでは徹底的にセットプレイでやられていた事を考えると、あそこで不運を全部払い落としてしまったのかもしれない(笑)。
さて試合だが、モロッコはさすがに日本を良く知っているピム監督が率いているだけに、永井を何も警戒していなかったスペインとは違って十分に日本を研究して来た。
DFラインを低めに置いて永井に裏のスペースを与えず、日本の前方プレスを誘い出して1トップのアムラバトにロングボールを出してボールをキープさせる。日本が前から来ない場合は中盤でじっくりパスを回し、日本の選手が1対1ではボールを奪えないので、攻撃にポイントをいくつも作る事が出来ていた。
ただ、惜しむらくは日本のサイドを警戒するあまりにSHの位置取りが低くなり、その分アムラバトがサイドに流れる事で基点を作っていたのだが、肝心の中に飛び込む選手の数が少なく、結局は遅攻になって日本の守備人数が揃ったところでクロスを上げる形が多くなり、決定的なチャンスの数はそれほど多くは無かった。
日本はモロッコの分厚い守備に対して攻めの形がなかなか作れず、裏のスペースが使えないのでFWにクサビのパスを出して組み立てようとはしていたのだが、永井や大津が満足にキープ出来ず、乾いて足が遅い芝にボールスピードが殺されて扇原ら中盤からのパスにミスが多く、前半の終わり頃に吉田や鈴木がセットプレイで惜しい場面を作ったが、前半の見所としてはそれだけだった。
後半26にラマダンの疲労を考慮してアムラバトが下がったが、そのあたりからモロッコの選手の足が止まりだし、日本が中盤で前を向いたプレイが出来るようになってようやく調子が復活、そして41分の永井のゴールに繋げることが出来たものの、いくらスペイン戦の疲労があったとは言え、メダルを狙うことを考えるとこの程度の相手であればもう少ししっかりボールを回す試合をして欲しかった。
さて、次はグループ1位突破がかかったホンジュラス戦。モロッコとの試合を見る限りでは、南米と言うよりもアフリカのようなチームで、組織的な攻守こそ無いものの、個人での打開力やシュート力は非常に強力で、スペインが敗れたように先制点を与えてこちらが前に出ざるを得ない展開になってしまうと、ヨーイドン勝負になって相当厳しい状況になる事が予想される。まずはサブ組でしっかり守って相手を疲れさせたところで、永井らを投入して突き放したいところである。