「メッシ、メッシ、メッシ」ナイキ・ブラジルワールドツアー ブラジル-アルゼンチン

ブラジル代表の金儲け興行としてお馴染みの「ナイキ・ブラジルワールドツアー」。会場は、アメリカ・ニュージャージーにある人工芝のアメフト場、メットライフ・スタジアムというサッカーをやるにはお世辞にも適した環境とは言えないピッチではあったが、サッカーとしては素晴らしいエンターテイメントになった。
何しろ、両チーム合わせて7点ものゴールが決まる逆転劇で、セレソンのフッキもめでたく得点を決めたし、おまけに最後はクロスカウンターの応酬でマルセロとラベッシが仲良くレッドカードというプロレスぶり(笑)。そして何よりも、ブラジルがOA込みの五輪代表とは言え、ハットトリックをやってのけたメッシが素晴らしいと言うしか無かった。
ブラジルには、ペレにメッシ以上と呼ばれたネイマールが出場していたが、チャンスの数こそ互角だったもののネイマールは人工芝に引っかかるなどして1点も決められなかったのに対し、メッシは全てのチャンスをモノにする圧倒的な決定力の差を見せつけ、ネイマールにとっては屈辱の結果になってしまった。
メッシとネイマールのプレイを比べてみると、ドリブルのスピードやキレこそ互角ではあるが、ネイマールはドリブルからシュートに持って行くまでにボールの位置が安定せず、シュートした時には体勢を崩している事が多い。しかしメッシは、ボールはいつでもシュートを打てる位置にピタリと置かれており、3点目のファーに巻いたシュートの場面を見ても、トップスピード状態からたったの2歩でFKのような精密なシュートを放っているのには驚くしか無い。
香川もブラジルメディアで「日本のメッシ」として紹介された事があったが、やはりこの試合のメッシを見てしまうと、香川はワンタッチ目のコントロールと反転力で勝負しているだけで、メッシのような引き出しの多さというか、時と場合を選ばない盤石な攻撃力とは大きな差が存在していることを実感する。
ただ、メッシが凄まじい輝きを放っていた分、両チームにおける守備のお粗末さの落差は激しかった。
ブラジルは、序盤にしっかりサンドロがメッシをマークしていた時はまずまずだったが、先制点を入れたせいで浮かれたのか、前がかりになって失点してからはやられ放題になってしまい、いくら親善試合とは言え五輪本番では不安になる安定感の欠如を露呈してしまった。
アルゼンチンも勝ったとは言えメッシにほとんど助けられたようなもので、CBコンビのスピード不足は深刻で何度もブラジルの前線に振り切られ、GKロメロもファンブルからフッキに得点を決められたように不安定で、内容としては決して褒められたものではなかった。
まあ、それでもOA抜きで日本がこのブラジルと対戦したらボコボコにされるのは間違いないだろうね・・・OAを使って勝つ事を優先するのであれば、林を予備として貴重なOA枠を1つ使うという選択はどう考えてもおかしいよなあと。はてさて、本番はどうなりますことやら。