「西野改革は道半ば」J1第14節 ジュビロ磐田-ヴィッセル神戸

肝心なグループリーグ最終節が御こなれているのに、何故かユーロの地上波放送が決勝トーナメントまで無くなってしまっているので、その間はちょっとJリーグを回顧。
3週間の中断明けと言う事で、監督業を復活させた西野監督が神戸をどういう風に作り変えるかが注目された試合だったが、試合が始まってすぐにその効果が見て取れた。
神戸は、磐田のDF陣がボールを持つと2人のFWとボールサイドの1人がプレスに行き、その後ろの選手もそれに連動して高い位置まで押し上げるハイプレッシングサッカーを展開。いつものようにボールをつなごうとするジュビロのパスワークを寸断させ、奪ったボールを高い位置で残っている前線にすぐ配給する。そしてまんまと6分にCKから大久保が競って流れたボールを19歳のFW小川が押し込んで先制すると、その後も攻守の出足でジュビロを圧倒する。
たた、ボールサイドに大きく人が偏る分、反対サイドに大きなスペースを作ってしまっているのも事実で、ジュビロは26分に自陣で粘り強くパスを繋いでから、オープンサイドの駒野に展開、完全にフリーでクロスを挙げたところを山本康裕がDFと競り合いながら押し込んでジュビロが同点に持ち込む。
この得点で神戸は弱気になってしまったのか、それまで見せていた積極的な押し上げが無くなり、自陣で足を止めて単純にゾーンだけを作ってみる悪循環に陥り、そこからは完全にジュビロのペースになってやりたい放題。磐田の逆転は時間の問題かと思われたのだが、ここで何度もあった決定的なチャンスに決められなかった事が運命を分けてしまった。
後半もジュビロペースで入ったのだが、8分に一瞬の隙からスルーパスに反応した小川に抜けだされ、小川は落ち着いてボールをコントロールしながらドリブルシュート。この得点でほとんど死に体だった神戸が息を吹き返し、17分にはDFと競り合いながらサイドを抜け出した大久保のクロスに小川が合わせ、ハットトリックとなる3点目を決めてしまう。
その後は、神戸の守備はハイプレスからカバーリング重視のスタイルに切り替え、3バックにしてサイドを厚く攻めるジュビロに対してもSHやFWがしっかり戻って粘り強くスペースを抑え、後半は危なげなく磐田を完封。西野体制になっての初勝利を飾った。
ぶっちゃけ結果とは逆に良く神戸勝ったな、という試合で西野マジックとは全然言えない内容だったけど、堅守速攻というそれまでのスタイルから全く違う場所を目指しているのははっきりしていて、それを短期間である程度仕上げて来ていたのには驚いた。後半戦の注目チームであることは間違いないだろうね。