「果たして鹿島はいつ噛み合うのか」J1第11節 ジュビロ磐田-鹿島アントラーズ

選手の世代交代期を迎えて互いにチーム再建中となっている、かつてのナショナルダービーマッチはホームのジュビロが鹿島に3-0という大勝に終わった。
オリヴェイラが退任の後を受けて、満を持してレジェンドであるジョルジーニョ監督が就任した鹿島だが、試合を見た瞬間にその不調の原因が見て取れた。とにかく、選手同士の連携がかつて好調だった時とは雲泥の差になってしまっているのだ。
本来の鹿島サッカーは、25パズルのように各選手が空いたスペースへと次々に連動してそこにボールが繋がって行くものなのだが、今は各選手がバラバラに動いていてポジションバランスが悪く、連携が取れてないのでパスを選択する前に無理やりドリブルを入れているような状態で、そうなると当然ボールロストの確率が高くなってしまう。
そしてボールを奪われると、攻撃時にポジションバランスが崩れているので、守備の時に選手が空いたスペースを埋めて、それで出来たスペースをまた他の選手が埋めるという、25パズルの逆パターンに陥ってしまうのだ。こうなると、松浦のようなスペースを見つけてすばしっこくプレイする選手にやられてしまうのも当然である。
これは、ジョルジーニョ監督が無能であるかどうかと言うよりも、おそらく彼が普通にブラジル式の指導方法をしているからではないかと思う。
かつてのジーコがそうだったように、逐一チーム戦術を選手に叩きこむのではなく、せいぜい「つるべの動き」を指示するぐらいで、後は選手の個人戦術と判断、コンビネーションでチームを作って行く。それにはメンバーは固定しないといけないし、その上でさらに時間がかかる事だけれども、いったん完成すればどんな相手でも柔軟に対応が出来るチームとなる。
柴崎や遠藤、山村、西といった若い選手を軸に据えて、そういうチーム作りをして行くのはおそらくそう簡単な話ではない。代表選出の噂でにわかに注目を集めている柴崎も、縦パスを出すセンスはあるのだがポジショニングが全く周りと噛み合ってない。鹿島にとって今問題なのは、それを我慢して待つだけの時間を、ファンやクラブが持つことが出来るとどうかという点だろう。
磐田については、もともと鹿島よりも一歩先に若手が育ってきて復活しつつある状態だったのだが、エースの前田が調子を落として最近は結果が出ていなかった。でもこれでようやく前田に点が生まれた事でまた上昇曲線を描けそうだね。