「したたかさなアトレティコ、ナイーブなビルバオ」ヨーロッパリーグ決勝 アトレティコ・マドリー-アスレティック・ビルバオ

名将ビエルサ監督が率いるアスレティック・ビルバオは、今期のヨーロッパリーグでマンUに内容でも結果でも完勝するなど旋風を巻き起こしてきたが、決勝ではシメオネ監督のアトレティコ・マドリーに対して0-3で敗れるという、予想外の惨敗を喫してしまった。
ビルバオは、試合開始からいつも通りにショートパスで攻撃を組み立てようとしたのだが、アトレティコはビルバオが自陣で回すボールに対して前線が猛然とプレッシャーをかけ、それを全く予期していなかったビルバオはパスミスを連発、そして前半7分に中盤からカウンターで抜け出したファルカオがアモレビエタと1対1になると、アモレビエタがオーバーラップした選手に気を取られた瞬間にファルカオが切り返し、ファーサイドのネットに突き刺さるゴールを決めてしまう。
その後も、アトレティコは前線がプレスをかける一方でDFラインはジョレンテとサイドのスペースをしっかりケアし、ビルバオのパスコースを限定させながらミスを誘ってカウンターという戦い方が徹底され、同点にと焦るビルバオはいつものサイド攻撃は影を潜め、ロングボールや無理な中央突破に固執してますますリズムが悪くなる。
すると34分には、またもアモレビエタが不用意な自陣でのボールキープを奪われ、中央でボールを受けたファルカオが足裏で鋭くターンをすると、マークについていたDFがあっさりと崩され、ファルカオは易々と2点目を決めてしまった。
後半から選手を2人入れ替え、2トップ体制にしたビルバオは、ようやく持ち前のサイド攻撃が少し繰り出せるようになり、アトレティコに疲れが見え始めた70分過ぎには、何度か惜しいシュートチャンスを作るも精度を欠いて得点できず、後半34分にカウンターから最後はジエゴに突破されてゴールを決められ、これで勝負は決まってしまった。
試合開始から浮き足立って、失点で完全に自分たちのサッカーを忘れて焦ったプレイを繰り返したビルバオの、若さというかナイーブさがあまりに残酷な形で露呈してしまった内容と結果で、選手にとってもファンにとっても非常に悔いが残る試合になった事は確かだろう。
逆にアトレティコのほうは、終始落ち着いた守備で空回りするビルバオの攻撃を見極め、鋭く隙を突いてカウンターを仕掛けるしたたかさは実に見事だった。MVPはこの試合で2得点を決めてEL得点王に輝いたファルカオで間違いないだろうが、ヴォルフスブルクで不遇を囲ったジエゴの活躍も光っていた。
3点目の場面はもちろんだが、トップ下でありながらしっかり戻って守備をこなし、低い位置からカウンターにつながるスルーパスを何度も繰り出し、ビルバオにボディブローを与え続けた。まあ、ヴォルフスブルクにおけるマガトの処遇が気の毒だっただけに、活躍する姿を見られて嬉しかったね。
来期こそは、ビエルサ・ビルバオに雪辱を期待したい・・・と言いたいところなんだけど、ビエルサには日本人選手のいるクラブの監督になって欲しい気がするからなあ(笑)。ストラマッチョーニでも悪くはないけど、出来たらインテルに行ってくれないかな~。