「グループリーグ突破に王手」ACLグループF FC東京-北京国安

ここまで負け無しの首位で折り返し、アウェイで引き分けに終わった北京をホームに迎えたFC東京だが、終わってみれば3-0という思いがけない大勝を収めることが出来た。
その要因は、試合開始からすぐに見て取ることが出来た。FWから2列目、3列目、そしてDFと5m程度の間隔で非常にコンパクトにまとまっている東京に対し、北京の布陣は間延びしており、セカンドボールの奪取率やボールホルダーへプレスをかける人数が圧倒的に北京を上回っていたのだ。
北京はとにかく高さのあるレイナウドに対してロングボールを当てる攻撃をしようとするのだが、東京の高いDFラインで牽制されてボールを受ける動きが出来ず、ボランチとSBでサンドイッチしてカバーしてくるので、北京のDFはボールを出すことも出来ず、後ろで横パスやバックパスを繰り返すだけになっていた。
東京は7分に石川のFKから渡邉千真がポストに当てて入るヘディングで先制すると、その後しばらくは先制点で安心したのか攻撃陣の足が止まってしまい、個人力でゴリ押しして来る北京に対して後手に回る対応を強いられてしまったが、今期初先発だった大竹が東京の悪いリズムを変えてくれた。
攻勢でバイタルが空きがちになった北京のスペースにうまく入り込み、重心の低さを生かした細かいボールさばきに北京の選手がついて行けず、相手がボールサイドの偏ったところをオープンに展開する、「接近・展開・連続」サッカーで一気にペースを奪い返す。
37分にまさにその左サイドへのダイナミックな展開から太田のピンポイントクロス>渡邉のヘディングは決まらなかったが、前半終了間際に長谷川アーリアジャスールのスルーパスから抜け出した渡邉の切り替えしてからのクロスが相手に当たってゴール前に立っていた大竹にフリーで渡るラッキーなゴールが決まって2点差で前半を折り返す。
後半になると北京はさらに攻撃の人数をかけて来るが、北京の守備はSBが上がった後のカバーやCBのポジショニングが全く整備されておらず、12分にサイドをラクラクと突破した谷澤が切り返したボールを大きく流してしまうミスをしたものの、それを北京のDFがクリアミスしてしまい、GKの動きを見てあっさり3点目を決めてしまう。
ところが、米本を怪我で失った影響がここから出始め、中盤での守備のポジショニングやマークの受け渡しが曖昧になって中を攻め込まれるようになり、必然的に東京は自陣に引きこもる形になってセカンドボールを拾われ、何度もセットプレイの機会を北京に与えてしまうが、GK塩田を中心とした粘り強い守備で何とか猛攻を耐え抜き、最後まで相手に得点を与えず締めくくった。
もう一方の試合で蔚山がブリズベン・ロアーに勝ったために、2位と3位との勝ち点差が6に広がり、東京は次節で引き分け以上の結果を出せばグループリーグ突破という非常に有利な立場に立つ事ができた。大竹、田辺が活躍したことは明るい材料だが、せっかく復帰した米本がまたも戦線離脱になった事はJリーグをこなす意味でも大変痛い。ポポヴィッチ監督の選手やりくり能力が問われる1年になりそうだ。