「ドイツのぬるま湯祭り」ドイツ・ブンデスリーガ第18節 ハンブルガーSV-ボルシア・ドルトムント

チームはアウェイで5-1の大勝、香川はビルド誌の採点が1.5の高得点、そしてレヴァンドフスキ、ブワシチコフスキと並んでのベストイレブンと、まさにウインターブレイクをお祭りで飾った感があるドルトムント。
これだけ絶賛評価が並んでしまうと、元来天邪鬼な私としてはつい斜に構えて見たくなってしまうもので(笑)、ドルトムントの内容が良かったのは間違いないけれども、HSVがドルトムントに対してあまりにも対策がイノセント過ぎたようにも思う。
ホームのHSVは、4-2-3-1のフォーメーションにして中盤を厚くし、ドルトムントに対して真っ向からパス勝負を仕掛けてきたのだが、それがそもそも無謀であった。
中盤では好守の切り替えが早いドルトムントの守備にあっという間に囲まれ、DFラインでボールを持っても2列目からどんどんプレッシャーがかかるのでフィードミスを連発。そこを拾って中央に持ち込んだ香川がシュートと見せかけてグロスクロイツにパスを出すと、HSV守備陣全員が見事に釣られて棒立ち、やすやすと先制点を決められてしまった。
2点目も、スローインからDFの1人が慌ててボールに飛び込んだところをレヴァンドフスキに抜かれ、もう1人のカバーも間に合わずに決められるなど、中盤のバイタルエリアをドルトムントが使った時の対処が全く整理されておらず、香川はそこのスペースを自由に使ってチャンスを作り続けていた。
HSVは後半からようやく己の間違いに気づき、4-4-2にしてシンプルにロングボールで攻めるサッカーに方針転換したが時既に遅し。ゴール前までボールは届くようになったものの、それで前がかりになったところをドルトムントに使われ、さらに失点を積み重ねて試合終了。
香川については、スペースメイクしないレヴァンドフスキとプレイするには、自分も動かずにバイタルエリアでフラフラとフリーになるポジションを探し、そこでボールを受けての反転からドリブルやオーバーラップする味方にパス、という中田@ペルージャスタイルで行くしか無いと腹をくくってしまったようだ。
ただ、それでも成功しているのは香川がフリーでいられて、なおかつ味方が香川を追い越してパスコースを作ってくれているからであり、香川にビッチリマンマークを付けられたり相手に押し込まれて前線が孤立した時にどう打開出来るか、という点での疑念は残る。
ブンデスだとドルトムントが劣勢に立たされる相手と言ってもバイエルンぐらいしかいないし、イタリアならともかくドイツじゃ誰か1人に厳しいマークを付けるようなチームは少ないので、これだと来期のCLで勝ち抜くための経験にはならないんじゃないかと思ってしまう。
彼自身も反省点と言っていたが、この試合でもグロスクロイツとのワンツーリターンをもらって角度がないとは言えシュートコースがあったのに、またグロスクロイツに返してカットされるというシーンがあったが、たとえ孤立した時でも自分の力で得点をもぎ取るような力強い選手を目指してもらいたいものである。