「長友はミラン相手に勝てるのか」イタリア・セリエA第17節 アタランタ-ACミラン

高校選手権も終わってブンデスもウインターブレイクと、ちょうど今は時期的に見るべき試合が少なくなるタイミングなので、次週に迫ったミラノダービーの研究としてACミランの試合を見てみた。
結果としてはミランがアタランタに2-0で勝利したわけだが、ミランはベストメンバーから遠い状態な上に、好調なアタランタが相手とあって内容的には押され気味な展開で、正直これを見ただけではインテルとの力の差ははっきり分からない試合だったのだが、それでも結果だけはきっちりと出すところはさすがである。
とにかく、この試合を見て最初に感じたことは、ミランはイブラヒモビッチのためのチームなのだな、という事に尽きる。
ボールを奪うとミランの選手はまずイブラヒモビッチにボールを集めるのだが、彼は相手を背にしたポストプレイでもボールを収めることが出来るし、そこからサイドに展開も出来る。真ん中のマークがきつければサイドに流れてボールを受け、前を向くと自分でドリブルを仕掛けられるしクロスも出せると、およそ前線の選手に求められる全ての仕事がハイレベルにこなしてしまう。
おかげで、パトやロビーニョもイブラヒモビッチからのこぼれ球やパスをたまに拾って攻めるだけの小間使いに成り下がってしまっていて、彼らのテクニックや足技を披露する機会は数えるほどに過ぎなかった。パトはPSGへの移籍の噂が出ているが、こういった使われ方ではそれも納得するしか無い有様である。
そういった感じに、チーム全体がイブラヒモビッチを軸とした速い攻撃に特化されており、SBが攻撃参加するのは、たまたま相手が引いた状態になってパスをワイドに回す必要に迫られた時ぐらいで、常時2バック状態でSBが攻撃の軸になっている(笑)インテルとは全く正反対のサッカーだと言える。
あと、ミランで気を付けなければいけない選手はボアテングだろう。この試合では中盤右サイドでプレイしていたが、基本的には流動的にポジションを取って、スピードはそれほど無いものの強靭なフィジカルでボールをキープし、そこからゴリゴリと強引なドリブルを仕掛けたりサイドチェンジを繰り出してみたりと、中盤でのリンクマンとして存在感を放っていた。
もし、ダービーでマイコンが先発になった場合、右サイドの長友と対峙するのはボネーラになるが、彼はフィジカル能力は高いがスピードに欠け、この試合でも振り切られそうになったところをファールで止めてイエローをもらっていたので、1対1になれば長友が有利だと考える。パトがサイドに張ると長友にとっては厳しくなるが、さてアレグリ監督はインテルのサイド封じにどういう策を取ってくるか。
まあ、ラニエリの事だから長友じゃなくてサネッティやキブを使う可能性はあるんだけど、何にしてもミラノダービーが楽しみだね!