「とうとう燃え尽きた柏」天皇杯4回戦 名古屋グランパス-柏レイソル

柏のCWCへの出場のために順延となっていた天皇杯4回戦は、史上稀に見る大激戦となった。
前半は完璧な柏のペース。もともとスロースターター気味である名古屋は、リーグが終わった後でさらに試合勘が鈍っており、しかも闘莉王とケネディ不在という事で明確な攻守のポイントも無く、左SBに入った三都主を筆頭として寄せが甘すぎ、攻守において完全に後手後手に回って何と前半のシュート数は0-13という圧倒的な大差になってしまった。
それは、柏がCWCを経たおかげで速いゲームスピードに適合したサッカースタイルになってしまっていて、とにかく少しでもコースが空いていたらシュートやクロスを躊躇なく放つようになっていたのもあるが、そこはアジアの悲しさで、結局はシュートを撃てども撃てども楢崎の壁を破ることが出来ず、結局前半はレアンドロ・ドミンゲスがコースを狙ったゴールしか得点出来なかった事が大きく響いてしまった。
業を煮やしたピクシーは、後半から名古屋は小川に代えて永井を入れたが、これがこの試合の戦況を一気に変えるきっかけとなる。
後半になって疲れが見え始めた柏は、永井がサイドで加速してもだんだん選手がついて行けなくなり、65分に酒井に対する三都主の緩慢なカバーから2点目を決めたものの、76分にカットインの動きを見せた永井に強烈なミドルを叩きこまれて1点差。そして87分には、三都主のロングスローに対して何と澤が頭で自陣に折り返してしまい、それを拾った増川に角度の無いところから蹴りこまれてとうとう名古屋が同点に。
延長になると、互いに中盤が大きく開いてゴール前での攻防がメインになり、延長5分には永井がDFラインの裏を取って30mを独走、最後はループシュートを決めてついに名古屋が逆転。しかしこれで勝負は決まらず、延長後半5分にPAの中で田中隼が工藤を引き倒し、2枚目のイエローで退場&PKでとうとう120分で決着付かず。
PKは、5人目までは全員が成功し、6人目は仲良く失敗、そして名古屋9人目の楢崎が豪快に決めたのに対し、柏10人目の菅野が失敗、最後はGKのPK対決が運命を分けることになった。
柏にしてみると、CWCで4試合、そのうち延長を2試合こなした上での過密日程、しかもリーグは優勝してACLの出場権を獲得済みと合って、本当ならばモチベーションが下がってもおかしくない試合ではあったが、Jの代表としてCWCを戦ったプライドが感じられるナイスゲームだった。決定力は来期ACLに向けての大きな課題になったが、大いに期待したいチームである。
名古屋は、年明けに待っているU-22決戦の事も含めて、永井が復調してきたのは非常に心強い。怪我人、欠場が多いのが気がかりではあるが、次のFマリノス戦をクリアすれば次はJ2勢が相手だけに、天皇杯がおぼろげに見えてくる事だろう。