「バーレーンのGKさまさま」ロンドン五輪アジア最終予選 バーレーン-日本

五輪にストレートインの首位通過を目指す上で、絶対に勝ち点3が必要なアウェイバーレーン戦で、2-0という勝利を挙げたという結果については申し分ない。しかし、内容に関してはよくこれで2点取れたな、というぐらいに危ういものだった。
試合は、序盤から予想通りバーレーンが攻勢に出て来て、ひたすらロングボールを前に蹴り込んではセカンドボールを激しく拾いに来る中東式キックアンドラッシュ戦法で、日本の選手は芝が長くてボールが走らないピッチにも戸惑い、とりあえずは跳ね返すだけの対応に終始。
20分ごろからは、ようやくバーレーンのプレスが落ち着き始め、真ん中に人を寄せて守るバーレーンに対し、日本はSBが高い位置に侵入して起点になり、大迫にもボールが良く収まっていたので、そこから横にボールを動かして揺さぶりを・・・と思いきや、ボランチの山本は判断が遅くてボール離れが悪く、扇原は一発のパス狙いをしすぎ、比嘉や山田はボールには絡むが軽いプレイでボールロストと、どうにも歯車が上手く回らない。
何度もCKを得ながらも決められなかった日本は、ようやく前半終了間際のCKで、バーレーンGKがかぶってしまって後ろにファンブルしたボールのこぼれ球を、大津が角度の無いところからバーレーン選手の股を抜いて決めるというラッキーなゴールで日本が先制する。
これで日本は一気にバーレーンを突き放したいところだったが、後半になるとバーレーンの守備が日本のサイドをケアするようになり、日本は山本を山口に変えても相変わらずなかなか縦にボールが入れられず、前線を中盤が追い越すような動きが無くてパスコースも作れず、完全に攻め手を失ってしまう。
が、22分に単純な扇原の放り込みにバーレーンのDFが交錯し、こぼれ球をフリーでいた山田がボレー。これをバーレーンGKが前に弾いてしまい、東が押し込んで日本がワンチャンスから2点目を決めてしまう。
焦るバーレーンはここから危険なファールが多くなり、後半35分には相手と交錯して倒れた山田の顔に、アブドアヘリがストンピングをかまして一発退場。接触プレイに対してはほとんどバーレーンの笛を吹いていた審判だったが、さすがにこれは見逃さなかった。
その後は日本もなかなか交代選手を入れることが出来ず、結局最後は無理をせずにそのままのスコアで試合終了。シリアとマレーシアの試合が翌日なので、日本は暫定的にグループ首位になった。
日本はCBの2人と大迫、GKの権田が比較的安定していたので要所を締めることが出来ていたが、それ以外のポジションはとても機能していたとは言えなかった。特にボランチについては、遠藤のいないA代表同様にパスでリズムを作れる選手がおらず、何故柴崎を招集しなかった事に疑問が残る。
だいたいファン心理としては苦戦の後は出場していない選手に期待してしまうものなのだが(笑)、山村も到底このチームをコントロール出来ているとは言えない現状では、もっとパスワークを重視した選考があってもいいのではないかと思うのだが・・・
ともかく、4日後にはとんぼ返りのホームでシリアとの決戦が待っている。ここで勝ち点3が取れないと、ストレートインには暗雲が漂ってくるだけに、戦術をしっかりと修正した上でコンディションを整え、試合に臨んで欲しいところだ。