「まだ周囲と噛み合ってない長友」イタリア・セリエA第9節 アタランタ-インテル

ここまで4勝3分け1敗と、八百長事件による勝ち点6の剥奪がなければ首位争いをしているはずの絶好調アタランタに対して、アウェイのインテルは試合終了間際にキブが与えたPKを、GKカステラッツィが防いでかろうじて1-1のドローに持ち込んだ。
さすがに隠れ2位のアタランタは非常に統率が取れているサッカーを見せ、中盤での素早いプレスからボールを奪うと、高い位置に張り付いているボナヴェントゥーラとスケロットの両ウイングに展開し、トップ下のモラレスが絡んで1トップのデニスがゴールを狙うパターンが完全に出来上がっている。
守備でも、両ウイングとモラレスが非常な運動量を見せてインテルの攻撃に対して忠実にカバーをし、必ずサイドは2枚で防いで長友やマイコンのオーバーラップに対してフリーにさせる事がない。
インテルは、運動量ならスケロットに負けない長友がこれまでに無く積極的なオーバーラップを繰り返すのだが、2トップの左に位置するミリートと1ボランチのスタンコビッチが右側に寄りたがり、そのスペースを埋めるようにスナイデルとカンビアッソが前に上がってしまうので、長友がオーバーラップしても相手の2枚と味方で混み合った状態になって良い形でボールが渡らない。
そしてボールを中で奪われると、長友とカンビアッソの裏は当然誰もカバーしていないので、長友が必死で走って戻るというマッチポンプ状態が続いてしまっていた。
試合は前半32分に、スナイデルのミドルが相手に当たって入るラッキーでインテルが先制したが、その後は終始アタランタペースで、前半終了間際に右サイドでの寄せが甘くてフリーで入れられたクロスを、デニスがコースを変えてのゴールが決まり、同点で前半を終了する。
後半になるとチームの指示があったのか、左に回ったサラテがサイドから中央へと切れこんでサイドにスペースを作ると、カンビアッソが後ろでカバーしながら長友が上がる形が出来て何度か良い形でのサイド攻撃は出来たが、68分にオビが入るとサイドに張ったままになってスペースが無くなり、また長友の出番が無くなってしまった。
その後は、アタランタがPK、インテルがマイコンの早いクロスをフリーで飛び込んだミリートが胸でクリア(笑)というチャンスは作ったのだが決められずに試合終了。
長友自身は調子が戻ってきて、スケロットとのマッチアップでは互角以上に守り、終始上下動を厭わない走りを見せてはいたが、周りとのコンビネーションやマイコンのような相手陣に斬り込むような働きという点ではまだまだ物足りない部分が多かった。単純な縦への走りだけでは相手の警戒もあってなかなかボールが出て来ないので、多様な攻め上がりのバリエーションを模索すべきではないだろうか。