「ただ勝ち点3だけが収穫」ドイツ・ブンデスリーガ第9節 マインツ-アウグスブルク

細貝が先発フル出場をして、アウェイの試合で今期初勝利を飾ったという、極めて目出度い結果にはなったのだが、個人的には二重の意味で見ていてブルーにならざるを得ない試合だった。
まず1つは、アウグスブルクの試合内容のひどさ。
試合の序盤こそは、活発な出足でホームのマインツ相手に攻め込む場面を作りはしたのだが、前半も15分を過ぎると後はひたすら守りっぱなし。
プレスサッカーをするには最低限のレベルである、PAエリア外側でDFラインが踏ん張るというモラルは皆無で、相手が中盤でボールを持っただけでアウグスブルクのDFラインが簡単にPAの中までズルズルと下がり、ボールを奪ってもただ前に蹴り出すだけ。
それでも、前半はマインツの攻めの遅さに助けられてそれほど多くのピンチは作られなかったのだが、後半になってマインツがサイドの高い位置に選手を張らせて、ワイドな攻撃を仕掛けてくると、DFラインにSHが吸収されて6バックになったり、CBとSBの間にどんどん入り込まれたりで、セカンドボールすら満足に拾えなくなって来る。
しかしマインツも数多くの決定的なチャンスに決められず、ボールに関与してなかった選手がオフサイドに取られるなど判定にも恵まれず、苛立ちがピークになってマインツが前がかりになった88分に、センターラインよりも前に出ていたCBの横を抜けてGKとの1対1からシュートを放つと、これがポストに当たって跳ね返り、アウグスブルクの選手が先に拾ったところをスライディングでマインツDFスヴェンソンが倒してしまってPK。
結局、このPKで挙げた得点を、中東戦法を駆使しながら最後までアウグスブルクが守りきり、マインツのスタジアムはブーイングの嵐となった。
アウグスブルクはそこまで惜しいと思われるチャンスはかろうじて2度だけだった事を考えると、勝利は本当のラッキーだっただけに過ぎず、これから残留争いを勝ち抜くにはあまりにも乏しい内容だったと言わざるを得ない。この勝利で自信をつけて、ホーム戦で見違えるサッカーが出来るようになるとは期待したいが・・・
そして2つ目は、マインツの酷過ぎる決定力不足。
これほど試合を支配していてサイドからも崩しまくった挙句に点が取れず、カウンター一発でやられてしまったマインツのほうが、アジア予選で苦労をしている日本を見ているようでブルーになり、細貝には悪いが思わず最後は応援してしまった(笑)。いや、こういう負けはサポーターにとってはつらいんだよなあ・・・
細貝については、今回は左SBでの先発になったが、もともとはボランチなのでクリアが小さくて相手に渡ってしまったり、クロスへの詰めが甘くてコースを切ってもカット出来なかったりと、細かい守備のミスはあったが粘り強いカバーへの動きで貢献は出来ていた。
ただ、攻撃面では苦しい場面でボールを持つことがほとんどで、さらに中の動き出しが無いのでパスコースが見つからずに前にボールを蹴り出すしか無く、もちろんオーバーラップの機会も片手で数えられるほどと正直見せ場は多くなかった。チームともども辛抱は続きそうである。