「サッカーではなく戦争に負けた」ACL準々決勝 全北現代-セレッソ大阪

サッカーは現代の代理戦争だと良く言われる。レアル・マドリーとバルサのクラシコ、セルティックとレンジャーズのオールドファームなど、民族や宗教、社会階級を代表するクラブ同士の対決は、世が世なら戦争や革命、虐殺になりかねない物をサッカーで消化させているようなもので、良くも悪くも日本には存在しにくい概念である。
そして韓国や中国が日本に持つ意識も、本当のところはどうあれ民族教育によって不倶戴天の敵とされている事は確かで、この試合も全北はセレッソに対して完全に戦争を仕掛けてきたと言っても間違い無いだろう。
まず、セレッソの中でもフィジカルに長けた中盤の要であるキム・ボギョンを、まずはスネに対するローキックを叩き込み、次にヘッドバッドで顔面を骨折させるという実力行使に出てきた。言うまでもなくボギョンは韓国人だが、敵国スパイになった同胞は憎さ百倍とばかりに遠慮無く壊しにかかった。アジアの審判で韓国ホームであれば、いきなり故意のラフプレイを仕掛けてもレッドは出ないという計算もあったのだろう。
セレッソはこれで中盤の防波堤を欠くと同時に、ラフプレイに圧されて選手の意識が後退し、その後は中盤でのパスミスが増え、相手のポストに対してコースは切っても止めに行けない守備に終始してしまい、後半以降は完全に前北のペースに飲まれてズルズルと失点を重ねてしまった。
しかも、最後の砦であるはずのキム・ジンヒョンが、1点目にしても3点目にしても普段なら止められたはずのシュートを易々と通させてしまった事も気になる。まさか手を抜いたわけではないだろうが、ボギョンが受けた酷いラフプレイか何かで動揺したのか、明らかに普段のメンタル状態ではなかったように思う。
さすがにW杯アジア予選のような国際Aマッチでは、世界の眼があるのでここまであからさまな戦争は少なくなったが、ACLはまだまだ無法地帯であることを知らしめてしまった試合となった。
これらをアンチフットボールとして片付け、韓国や中国がこんな事をしていたのではいつまで経っても世界水準に追いつかないと切り捨てるのは容易い。しかし、日本が戦争ではなくサッカーで彼らを打ち負かせるようになるための努力、知恵というものまで放棄してしまったのでは、いつまで経ってもアジアのクラブレベルは上がらない。
今回は残念ながら大敗に終わってしまったが、セレッソには是非ともこの苦い経験を糧にして、今度は逆のスコアで彼らを打ち破ってほしいものである。