「DFラインの違いが大きな違い」J1第26節 横浜Fマリノス-ガンバ大阪

優勝争いの直接対決であると同時に、J1で最強の得点力と、最強の守備力を誇るチームの対決とあって注目された試合は、結局1対1のドローで終了した。
試合展開は、予想通りにガンバがボールをキープして横浜が守備を固めてカウンター狙いという形になったわけだが、個人的にとても面白いと思ったのが、両チームの最終ラインの動きである。
横浜の守備は、ガンバの選手がサイド深くでボールを持つとさすがに後ろまで下がるが、それ以外では常にPAの外側から下がらないように徹底されていて、CBのポジションも常に中澤が指示をする形で、横の間隔を均等に保つように細かくポジションを修正しており、中盤とコンパクトなバランスが撮れるように心がけられていた。
木村和司監督のイメージからはとても想像しがたい実にソリッドな組織で、青山や谷口といった他クラブでくすぶっていた選手を上手く使いこなしているし、ああ見えても実はなかなか曲者の監督なんだなと(笑)。
それに対してガンバの最終ラインは比較的ルーズで、一応PAの外側に抵抗線は作っているようだが、試合の流れでCBの位置が前後することがよく有り、ゾーンよりもマークを重視している事が良く分かる。横浜の先制点でも、DFの選手が横浜のライン裏への飛び出しに付いて行ってしまい、バイタルに出来たスペースを中盤が埋めきれずにやられてしまった。
ガンバの攻撃は、ラフィーニャのボールキープとイ・グノの飛び出しがキーポイントで、序盤こそイ・グノのスピードに乗った攻撃でチャンスを作り出したが、飯倉の好セーブもあって点を決められないうちに、徐々に横浜のコンパクトなゾーンに勢いを落とされる事になってしまった。
しかしその横浜自慢の守備組織も、だんだんと選手に疲れが出てくると機能しなくなり始めるのだから、サッカーというスポーツは面白い。
ガンバは63分に選手を2人一気に入れ替えて前線の人数を増やしたが、これで横浜のマークが一時的に混乱し、同点のセットプレイの場面では、中澤の視界に2人のフリーな選手が出来てしまい、中澤がニアの選手へと競りに行ったために、ファーにいたラフィーニャがドフリーになってしまっていた。
その後は、CBの青山と中澤の統率にほころびが出来始め、DFラインの上げ下げにもメリハリが無くなってガンバに対して防戦一方。ポストと飯倉に助けられてドローには持ち込んだが、やはり組織でかっちりと守るチームがコンパクトさを保てなくなり、前線との距離が間延びしてセカンドボールを拾われるという悪魔のパターンに落ち込んでしまった。困った時のキムクナン・タワーも、ガンバ相手には通用してはくれなかったようだ。
ガンバとしては勝てる試合を物に出来なかった悔しさはあるだろうが、遠藤がほとんど仕事が出来ていない状態での勝ち点積み上げは価値がある。まあ、またすぐに3次予選がスタートするので遠藤が復調する可能性は低いのだが(苦笑)、二川も今は好調だしこのまま首位争いは何とか続けられそうである。