「格上にドローでも不安な前途」オランダ・エールディビジ第1節 VVVフェンロ-ユトレヒト(0-0)

昨シーズンは17位に終わってしまい、プレイオフで命からがら残留したフェンロの開幕戦は、昨季EL出場の上位ユトレヒト相手にスコアレスドローに終わった。フェンロの吉田とカレンは先発し、今シーズンユトレヒトに移籍した高木次男はベンチ入りしたものの出番なし。
新監督に変わったフェンロは、中盤を一旦突破されてしまうとバイタルスカスカ、CBは竹槍状態だった昨シーズンに比べると、明らかに布陣がコンパクトになって個々のカバーリングの意識が徹底され、コンビネーションが無くてスピードに欠けるユトレヒトの攻撃をほぼ封じ込んでいたのは、今季の残留に向けて明るい材料だったと言える。
ただし攻撃面では、この試合ではカレンがトップ下の位置に入った4-3-1-2のようなフォーメーションになっていたのだが、FWに攻撃の組み立てへと関与する意識が低く、カレンが裏へ抜けようとしても中盤からパスを出せる選手がおらず、仕方なくカレンは中央ではたいては動き直すだけの動きに終始し、チャンスは偶発的にサイドへとボールが抜けた時のみ作られるお寒い状況。
CBの一角に入った吉田からも、前線へと縦にクサビを入れるようなパスはほとんど出て来ず、無難に横パスを回すだけでビルドアップの意識が乏しかったのは残念だった。そして時折マークを見失って寄せ切れないミスも相変わらずで、まだCBの相方である新加入のメイとのコンビが出来てない面もあるのだろうが、あまり手放しでは褒められない出来だった。
フェンロは80分に一発退場者を出して10人になったが、これで中盤へと下がったカレンがかえってスペースが出来ていきいきとし始めたように、カレンを得意な左サイドで使わずにトップ下や右で使おうとしている監督の意図がいまいちまだよく見えない所がある。試合終了間際にもリンセンがGKとの1対1を豪快に外してしまったように、あまり決定力には期待できそうな様子ではないだけに、どう攻撃を作っていくのかが残留への鍵になる事は間違い無いだろう。