松田選手と日本サッカーの18年

皆さんご存知のように、昨日の午前10時ごろに松本山雅所属の松田直樹選手が、急性心筋梗塞によって一時は心肺停止状態となり、現在は人工心肺装置で生命を維持している意識不明の重体という状況に陥っています。
松田選手と言えば、中田英とともにU-17ワールドカップから常に各年代の代表に選ばれ続けたタレントでありながら、常に思った事を口や態度に出さずにいられず、それが原因でジーコジャパンで干されたり、色んなところで摩擦を作り出すトラブルメーカーではありましたが、たくさんのファンに愛されている選手でした。
もちろん私にとってもトルシエジャパン時代から非常に親しんできた選手であり、つい最近には横浜Fマリノスを解雇されてから松本山雅へと移籍を決めた男気にも感銘を受けていただけに、昨日の事件は非常にショックでした。
聞くところによると、山雅が練習していた場所にはAEDが設置されていたなかったようで、チームにもそういった準備が無かったのが悔やまれます。当然ながらAEDは決して万能ではなく、それがあれば松田選手が重体にならなかったという保証は何も無いのですが、なでしこジャパンに国民栄誉賞の贈呈が決まった日だけに、協会には今一度選手の健康対策を考えなおしてもらいたいものです。
とは言え、我々に出来ることは彼が元気な姿を取り戻せるように祈ることしか無いわけで、それでもやはりサッカーの試合を冷静に見ることなど出来そうもなかったので、昨日はG+で録画しておいた、高校選手権選抜が出場したデュッセルドルフ国際ユースサッカーのダイジェストを見ておりました。
ドイツを中心とした各クラブのユースチームが出場するデュッセルドルフ国際には、日本は3回目の出場となり、過去2回はいずれも最下位に終わっていたそうですが、今年は5-0でアトレチコ・マドリーに勝った試合を含めて、2勝2敗1分けの10チーム中5位と、かなりの健闘を見せていました。
清水の樋口や甲府の加部未蘭など、Jへと進んだ選手も何人かはいましたが、彼らの年代が出場した2009年のU-17W杯に出場していたのが浦和の小島のみと言うことを考えれば、先のベスト8に進んだU-17の活躍も含めて、日本の若手の底上げを実感出来る大会だったように思います。
番組に登場した選手のインタビューにも、必ず海外移籍の事が彼らの目標にあり、この大会もそれに向けての経験の一環としてドライに捉えていたのが印象的でした。今までのこういう海外遠征記であれば、選手はとにかくはしゃぎまくりで、試合では相手のフィジカルに押されて負け続きという、修学旅行のような思い出作りみたいな構成ばっかりだった事を考えると、本当に隔世の感があります。
松田選手は、DFとしての能力的には過去の代表選手を含めて5本の指に入る潜在能力を持っていただけに、彼がもしあと18年遅く生まれて今のU-17の年代だったとしたら、周りに影響されてもっと大人の考えを身につけていたりして、彼の未来は相当変わっていたんじゃないのかなと、ふと思ってしまいました。
心筋梗塞後に蘇生後脳症を起こしている可能性が高く、松田のサッカー選手としての復帰は難しい見通しになっているようですが、とにかく家族のために目を覚まして欲しいと願うばかりです。