「日本はブラジルには勝てるのか」U-17ワールドカップ ベスト16 日本-ニュージーランド(6-0)

公式世界大会の決勝トーナメントで6-0という、日本が過去成し遂げたことがない大勝利の試合なのだから、諸手を上げて褒めちぎりたい気分ではあるが、単なる偶然だけど辛口気味に書いたほうが良い成績になっているので、あえてジンクスを守って厳し目に書いて見よう(笑)。
吉武監督は試合後の談話でラッキーと言っていたが、それは決して謙遜ではなく、日本が先制点を挙げるまでのNZは、出足の良い守備とフィジカルの強さを活かしたキープ力で度々日本の守備網を突破し、内容的にはほぼ互角の展開を見せていた。
しかし石毛のクロスが直接ゴールへと吸い込まれる幸運な先制点をゲットすると、NZの選手はそこからどう戦って行けばいいのか各自の意識がバラバラになってしまい、気持ちを切り替えられないままにボールウォッチャーになって2点目を入れられてしまった事で、試合の流れが完全に決まってしまった。
その後はご存知のように日本が好き放題パスを回して得点を重ねて行ったわけだが、ベスト8のウズベキスタンがこのNZに初戦で4点を入れられているのを見ても、一度メンタル的に崩れるとなかなか持ち直せないのがこの世代の特徴であり、この点差がそのままの実力差を表しているとは言えない。
それに、まだこのチームは前からガツガツとプレスをかけて来るチームには出会っていない。アルゼンチンは比較的前から来ていたけど、前線のプレスを突破すれば後ろは比較的ユルユルだったし、体格的にも日本とそう大差無い感じだったが、それでも1対1ではゴリゴリとドリブルでキープされていたので、局面で後手に回ったときにどこまで守りで粘れるかに不安は残る。
NZ戦の後半で出てきた武蔵君の出来が叩かれているけども、フランス戦では彼のフィジカルでキープする能力が無ければ相当苦しい展開になっていた事を忘れてはいけない。
攻撃でも、ブラジルを破って優勝を本気で狙うのであれば、今のパススピードはさらに平均して2~3割はアップする必要があるし、アルゼンチン戦やこの試合の後半で何度かあったような中盤でのイージーなパスミスを無くしていかなければ、決定力を持ったチームには苦しむことになるのは明白だ。
ただ、このチームはそれが出来るポテンシャルを持っていると思うし、グループリーグの序盤ではパスは回すけれどもさっぱり大きな展開やワイドな攻撃が出来ていなかったのに対し、NZ戦では別のチームじゃないかと思うぐらいにSBが鬼のようにオーバーラップする攻撃を見せるなど、それがユース世代の特徴とは言え、今大会の中での日本の成長は眼を見張るものがある。
是非、ブラジルが相手でも気後れせずに、どんどん自分達のサッカーを仕掛けて世界を驚かせて欲しいところである。