「これが初戦の難しさ、であればいいのだが」女子ワールドカップ2011 グループB 日本-ニュージーランド(2-1)

何と世界ランク4位の第1シードとして堂々の登場となった日本だったが、グループの中でランクが最も下のNZに対してギリギリ辛勝のややほろ苦いスタートと相成った。
NZのサッカーはほとんどボールをつないで来ず、ボールを奪ったらとにかく前線を走らせてセカンドボールを拾うという、今時男子でも珍しいキックアンドラッシュのワンパターンなのだが、序盤の日本はロングボールに対してDFラインが上手く牽制できず、あっさり裏を取られるシーンが目立つ嫌な展開。
日本は前からプレスをかけて来るNZの守備に対してなかなかうまくポストプレイが出来ずに苦しんでいたが、6分に大野のふわりとしたスルーパスに永里が反応し、GKよりも先に触ってゴールへと流しこみ、日本が幸先良く先制点を決める。が、12分にはまたもあっさりロングボールでサイドを破られ、ファーにいたFWハーンを完全にフリーにさせてしまい同点に。
しかし日本も縦には強いが横には弱いNZに対して、徐々にサイドチェンジを織りまぜながら攻める形が機能し始め、大野や永里がフリーで決定的な場面を迎えるものの、肝心のシュートがことごとく決まらず、30分を過ぎると暑さのせいか徐々に日本の攻撃も雑になり、あと一歩のところでボールがずれたりともどかしい流れで前半を終了する。
後半10分に、決定機を2度逃してからプレイが消極的になった大野からマナドーナ岩渕に交代。その岩渕が前を向いてドリブルを仕掛けるとNZの選手は全くついていけず、これは岩渕にどんどんボールを集めるべきだと思ったのだが、岩渕は硬さがあるのか何故か安易なオフサイド見え見えのパスを出したりで、いまいち空回りな働きしか出来ない。
すると後半23分に、ようやく岩渕のドリブルが炸裂してNZはPAわずか外側でイエロー覚悟のファールを犯し、これを宮間がNZの壁を越す見事なFKで日本はやっとこさ勝ち越し点を挙げる。
30分を過ぎると完全に相手の足が止まり、日本は中盤でほぼやりたい放題になりはしたのだが、前線に移動した岩渕が消えてしまって同じく交代で入った丸山だけが働く状態でやっぱり肝心の部分で攻撃が噛み合わず、そんなに危ない場面は無かったがこっちも追加点は決められずに試合終了。
ちゃんと決める時に決めていればもっと楽な試合になったとは思うが、重いピッチと相手のプレスの前にきちんと足にボールがつかなかったりパスが届かなかったり、キャプテン澤もらしくない判断の遅れやミスが多かったりで、最後の時間を除けば日本らしい流れるような攻撃が影をひそめてしまった試合だった。
これが初戦ゆえの硬さやプレッシャーであればいいのだが、澤や大野といったチームを引っ張るベテランが精彩を欠いていたのと、確実に相手に対する飛び道具となりうる岩渕の使い方がしっくり来てないのは気にかかるところだ。次は足元が上手いメキシコが相手だけに、NZ戦のような中盤での安易なミスは命取りに成り得るので、しっかりとした準備をお願いしたい。