「あまりに準備不足の名古屋」ACLグループF 杭州緑城-名古屋グランパス(2-0)

ぶっちゃけて言えば、名古屋はこの試合を戦うにあたって、イメージや戦術の意思統一が全く出来ないまま90分が過ぎてしまったなという印象だった。
杭州は、個人のスピードやパワーで非常に早い寄せを見せるがプレスとしては連動しておらず、技術レベルはさほど大したことはなくてパスやシュートのミスが多く、前線のラミレス・マシエロ・バスケスの外国人にスペースを与えず良い形でボールを渡さなければ、それほど恐れる相手ではないはずだった。
しかし名古屋がやったプレイは、それとは正反対の内容だった。
まず杭州の早い寄せに困惑したのか、中盤とDFラインでのパス回しやビルドアップが全く機能せず、足を止めたDF同士で横パスをしたり、闘莉王が完全に足を止めて数秒間ボールをキープしていたりと、紙一重で失点を免れていたようなプレイの連発だった。
中盤も、相手は単発プレスなのだからそれを予測したトラップとパスが出来ていれば軽く交わせるはずだったのに、ここでも足を止めた味方への足元パスばかりで、寄せに対して苦し紛れに不正確なアウトサイドパスを出してはボールを取られたりと、まるで連動性のない攻撃に終始していた。
また、名古屋の前線と相手のDFが同数の状態なのにも関わらずドリブルから一発ミドルを打ってチャンスを潰したり、サイドの深い位置でボールを持っても勝負せずにポーンとバックパスで返したり、ケネディがサイドに流れてチャンスメイクをしてたり、永井が入っても縦パスが出なかったりと、この選手がいる時にはこういう攻め方をするのだというゲームプランがてんでバラバラで、行き当たりばったりでプレイしていたように見えた。
確かにマギヌンがいなくて中盤にタメが出来なかったり、ダニルソンの不在で中盤の攻め上がりに思い切りが無かったりする面はあったのだろうが、それを含めてしっかり準備するのが当然であり、それ無しにACLのアウェイで勝つ事はアジアカップを見ても大変困難である事は分かっていたはずだ。ACL初出場ならともかく、既にアジア経験のあるJリーグチャンピオンなのだから言い訳は出来ない。しかも、中国アウェイにも関わらずジャッジはかなりまともだったのだから。
幸い、まだ初戦での敗戦だからまだ立ち直るチャンスは十分にある。これをきっちり反省してもらって、次はちゃんと心身ともに準備万全の状態で臨んでもらいたいところである。