「ちょいとほろ苦い先発デビュー」イタリア・セリエA 第17節順延分 フィオレンティーナ-インテル(1-2)

順延分のフィオレンティーナ戦で早速巡ってきた長友の先発デビューだったが、試合には勝ったとは言え長友にとってはやや不完全燃焼の内容になってしまった。
もっとも、それは長友自身の出来が悪かったというよりは、インテルの布陣が完全に右肩上がりのマイコン仕様になっており、左SBが上がる事を想定していない形になっていた事が原因だった。
インテルのフォーメーションは一応4-3-1-2という形にはなっているが、FWのエトォがサイドに張り付きたがるので、相方のパッツィーニはほとんど1トップのような位置取りになり、左センターに入ったスタンコビッチも中でプレイしたがるので、長友のサイドは全くチームメイトがおらず、ボールを受けても縦へのビルドアップが出来ず、チームメイトまでの距離が遠いので、中に預けてオーバーラップという長友得意の形もなかなか作り出すことが出来なかった。
守備面でも、マイコンのオーバーラップにはサネッティやカンビアッソがカバーに入る形が自動化されているのだが、長友がオーバーラップしてもカバーに入る人間がいないし、マイコンはそもそも基本的に上がり目なので、長友が上がった状態でカウンターを受けると2バック状態での対応になってしまい、一度はそれでフィオレンティーナに決定的なチャンスを作られて冷や汗をかく場面もあった。
長友のサイドは人が少ないのはこれからもそれほど変わらないとは思うので、相手と1対1になった場面でも、単にディレイさせるだけではなくて、球際でバチーンと当たってテクニカルなファールで止める手段も使えないと、味方に余計な負担をかける事になってしまう。
そんな感じで、前半は長友のオーバーラップもおそるおそるという様子で、長友らしい思い切ったキレのある攻撃参加がほとんど見られなかったが、後半になると少しはチームに長友を使おうという意識が加わり、スタンコビッチがサイドに流れて長友を使ったり、CBもカバーに入り始めたりで、徐々に調子が出て来てさあこれからだと思った後半25分にハルジャと交代。その数分前にインテルがリードしたので、安全策でサネッティを長友の位置に入れたのだろうが、ここからが長友の時間帯だっただけに残念だった。
長友にとっては不本意な出来だったのかもしれないが、まずは自分がどんなプレイでチームに貢献できるかを示せたという点ではまずまず良かったのではないか。まだまだ常時スタメンには遠い状況だけど、練習でしっかり連携を作って次のチャンスに活かして欲しい。