「ザック采配で日本はイタリアに!」アジアカップ2011 決勝 日本-オーストラリア(1-0)

アジアの頂点を決めるこの試合、日本は香川が怪我で長期休養を余儀なくされて先発が誰になるのかが注目されたが、本田のトップ下を変えずに藤本が右ウイングに入り、岡崎は左に回る形になった。そしてCBには吉田が復帰。
オーストラリアは、予想通りに自陣で4-4のゾーンを固めて日本のパス回しを封じ、ボールを奪ったら2トップに速く当ててこぼれ球を拾ってセカンドアタックにつなげるパターンで来る。
日本の守備陣は、序盤こそオージーのゴリ押しにあたふたする場面を作りはしたが、その後はこれまでの試合では不安定だった吉田がキューウェルの幅広い動きに良くついて行って粘り、セットプレイでは危ない場面は作るが相手の一方的なリズムにはさせなかった。
しかし攻撃は終始ギクシャクしており、ボールを奪っても相手が縦のボールに対して非常な注意を払っており、下手に人数をかけて攻めるとロングボール一発でピンチになってしまうために、どうしても前線の動きが慎重になってパスの出しどころが無くなり、本来の狙いであった縦の早いパス交換や、サイドの素早いオーバーラップがほとんど作れず。
代役の藤本も周りと息が合わずにとりあえず攻守に走ってみるだけで、厳しいマークを受けている本田がいろんな場所に動いてもそれを連動してどうこうという流れは作り出せず、バイタルでボールを受けて前を向ける香川の不在を強く感じさせる前半になってしまった。
後半になるとさらに日本のリズムは悪くなり、前線に動きがなくて後ろで緩いパスを回してはミスから攻められる展開が続き、ファーへのクロスが紙一重でゴールを割りそうになる大ピンチを産み出してしまう。
ここでザックがようやく動き、藤本に代えて岩政を入れ、今野をSBで長友をウイングに上げる策に出る。すると入った岩政は空気を読まずに(笑)ロングボールを入れる事で何とか日本に動きが出て、長友の仕掛けから岡崎がフリーで合わせたビッグチャンスを作るが得点にはならず。その後はキューウェルの1対1を川島が2度防ぐなど再びオージーのペースに傾くが、何とかそれを凌ぎ切って試合は延長戦に。
延長もオーストラリアのペースは続き、日本は前田に代えて李を投入はしたもののあまりリズムは変えられず、これは日本としてはPK狙いで行くしか無いのかと思われたのだが、110分経過しても試合開始直後のように動ける長友が左サイドを1対1で破り、李へのマークが完全に外れていたところをダイレクトボレーを決めて日本が値千金の先制点を決める。
その後はオーストラリアが攻勢を当然強めるが、相手も疲れているのか不正確な攻めに終始し、ロスタイムのPAすぐ外側のFKも何とか守りきり、日本が史上最多となるアジアNo.1の称号を手に入れた。
しかし、ここに来て日本は今までの不安定な守備を払拭し、耐えて耐えて一発のチャンスをものにするあたり、とうとう日本はイタリアになってしまったかという感じである。それがザックの指導力や神通力によるものであるのならば、まさにザック恐るべしというしか無い(笑)。
という冗談はともかく、本当に全員が一丸になった素晴らしい戦いをアジアカップで見せてくれた代表チームには、本当におめでとう、ありがとうと言うしか無い。とにかく、おめでとう日本!