「楽観にはまだ早い」アジア大会2010 グループA 中国-日本(0-3)

尖閣事件の後だけに、日本が超アウェイの中国で対戦するということで注目が集まった試合は、特に大きなアウェイの洗礼も審判の変更判定も無く日本が3-0と快勝したが、内容的にはそれほど楽でなかったのは確かだ。
試合開始直後は、人だけがワラワラいても誰も当たりに行かずに紙のように突破される日本のユース風景とは違って、まるでザッケローニをコピーしたかのような2ラインのコンパクトな守備で、アタックに行く選手とカバーに行く選手の関係が整理され、バランスの良いポジショニングで、単発攻撃に偏りがちな中国を軽く押さえ込んでいた。
ところが、11分に永井のワンタッチパスから裏に抜け出した山崎が先制ゴールを決めると、そこから意識が守りに入ったのかとたんに日本選手の動き出しが鈍くなり、ボールを奪っても横パスや後ろに流すパスが多くてリズムが作れず、守備も全体的に下がって足を止めた状態からスタートするので、中国のサイドアタックにSBが遅れを取る場面が目立ち、クロスを簡単に上げられてゴールから近いところで密集した守りになって相当危険だった。
前半終わり間際にワン・ユンロンがスルーパスから抜け出した1対1の場面と、後半開始早々にチャン・ツァが放ったフリーでのボレーが決まっていたら、一気に盛り上がったであろう空気に飲まれて、試合は全く分からなくなっていたかもしれない。
その意味で、後半13分の東からのクロスに頭で合わし損ねたボールを一瞬のスピードで決めた永井の得点は値千金だった。
文字通り現金なもので、この2点目で一気に日本選手の固さがほぐれ、視野が開けたのか1人飛ばしたパスや、わざと転がすようにテンポを落としたパス、前線やサイドへの思い切ったフィードのようなピッチを広く使ったプレイが見え始め、19分には水沼のFKを鈴木が決めて試合を決める3点目。後は日本が中国の攻撃をきっちりしのいでまずは好調なスタートを切った。
途中でのメンタルの緩みというか弱さがあったのは日本らしいご愛嬌だったが、やはり関塚監督は某N監督とは違ってちゃんとザックA代表のエッセンスを吸収した守備組織を整備してきたところはさすがである。永井や山崎といった前線も、香川や金崎といったこの世代の1軍に負けないポテンシャルを見せたといえる。
ただ、これからの日本にとって大きな課題になって来るであろう、遠藤の後継者となるべき、視野の広さやアイデア、ビジョンを持った中盤の核となる選手がおらず、どうしても攻撃が一本調子かつ攻め急ぎを終始感じる出来だった事は否めない。とは言え、山村のプレイには少しだけ可能性は感じられたので、この大会でブレイクしてくれることを願いたい。

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