「似たもの同士の大きな違い」EURO2012予選 グループA ドイツ-トルコ(3-0)

ここまで共に2戦全勝のグループ首位同士、そしてトルコはドイツに移民が多くてブンデスリーガで活躍中の選手も多く、しかもベルリンの観客の相当な割合がトルコ人で埋まっていると言う、ほとんどダービーマッチのような雰囲気での試合。
久々に見るトルコのサッカーは、ハーフラインから後ろにきっちりとしたプレスゾーンを作り、ボールを奪うと前線のハリル・アルティントップに速く当てて、そこからエムレを中心としてシンプルにボールをつないで速く攻め込む堅守速攻。しかし、ハリルはドイツDFに厳しくマークされて、なかなかスムーズに攻撃が組み立てられない。
ドイツも、前半は堅いトルコの守備に手を焼いていたが、そういう時には高さで点が取れるのがドイツの強みで、40分にアーリークロスからポドルスキが頭で狙い、GKに当たったこぼれ球を詰めていたクローゼが押し込んでドイツが先制する。
これで落ち着きが出たのか、後半はドイツがエジルやケディラが中盤でボールを持てるようになり、前が仮になったトルコのサイドを攻めてクロスからチャンスを作り始め、後半33分には相手のミスをカットしてゴール前に5人が飛び込む絵に描いたようなカウンターから最後はエジルが決めて2点目。42分にはGKのパスミスを拾ったクローゼが3点目を決めるおまけ付きでドイツの快勝に終わった。
ドイツは監督も選手も変わってないのだから当たり前だけど、やはりW杯の時と同様に若い選手が運動量豊富に走り回り、そこをワンタッチで正確なパスを通して速く攻めるという、近代サッカーのお手本のような攻撃で、2点目のカウンターなんかは見ていて背筋が寒くなるほどの切れ味だった。
逆にトルコは、個々の選手のテクニック的にはドイツとそれほど遜色は無かったが、戦術意識の徹底とプレイスピードのレベルが違い、その積み重ねがチームとしての大きな差につながっていた感じ。
しかし、アルゼンチンのメッシ中心中央突破サッカーを見た後だと、ドイツの攻撃は全くの正反対に見えて、このドイツとザック日本が対戦したらどうなるのだろうと想像したくなるような試合だった。是非、原さんに頑張ってもらって、アウェイでのドイツ戦で一度勉強させて欲しいね。