「今日は香川じゃなくてゲッツェの日」ヨーロッパリーグ グループJ カルパティ・リビウ-ボルシア・ドルトムント(3-4)

下馬評では圧倒的優位と見られていたドルトムントは、序盤にPKと相手のミスで2点を奪ってこれは楽勝かと思われたが、そこからカルパティの猛反撃に遭ってしまい、何とそこから3点をぶち込まれて逆転されるという苦しい展開に陥った。
その要因となったのは、ホームの大声援を受けて戦うカルパティの、激しいプレスと運動量、攻守の切り替えの速さだった。
相手のオールコートプレッシャーの前に、ドルトムントは攻撃の組み立ての中心であるサヒンにボールを渡すことが出来ず、DFはロングボールを前に蹴り出すのみ。
そうなると、当然体格に劣る香川はハイボールの競り合いに勝つことが出来ず、こぼれ球も反応の早いカルパティに拾われるのでなかなかボールに触ることが出来なかった。
前半の終わりにカルパティが1点返した事で、さらに後半は相手の圧力が高まり、ドルトムントの若いDF陣が勢いに耐え切れず、52分にDFフンメルスのミスをカットされて同点に追いつかれると、ロングボールの処理を誤ってそのままコジャノフに抜け出されて逆転を許してしまった。
しかしドルトムントは、後半42分のバリオスが決めて同点に追いついたことで空気が変わり、ロスタイムにゲッツェが胸トラップから難しいコースにゴールを決め、ドルトムントが奇跡の逆転勝利を手にした。
いや、日本じゃ香川ばかりが注目されているように見えるが、この試合で2得点し、リーグでも得点を挙げているゲッツェはわずか18歳。2点目のシュートを見ても得点感覚には非凡なものを持っているし、将来が恐ろしい選手だ。
香川は、監督の指示もあるのだろうが、終始トップ下のポジションをあまり崩さず、おかげでプレッシャーのあるところにパスを出せない味方からなかなかボールをもらえなかった。海外に移籍した日本選手にありがちな事なのだが、「スペースは自分で作るもの、スペースはそこに入った選手のもの」であり、出場機会を得られる選手というものは「得点する選手>監督の言う事を聞く選手」なのである。
連戦や肉弾戦の疲れは当然あるだろうが、ここは吹っ切ってとにかく思い切った動き出しを見せて攻撃陣を引っ張る意欲を見せないと、ブワシュチコフスキもアシストを決めただけに、本当にうかうかしてられないぞ。