「ドイツの若さ、スペインの老練」南アフリカ・ワールドカップ 準決勝 ドイツ-スペイン(0-1)

しかし、W杯も気がつけばあと2試合だねえ・・・見てるほうも長くて疲れる1ヶ月だったけど、いざ祭りが終わるとなるとやはり寂しいものがあるね。
さて準決勝のもう1試合だが、まあ月並みな言葉で言えば、ドイツの若さ、経験不足が出てしまった試合だったかなと。逆にスペインは、試合を支配する割に点が入らなくて普通ならイライラするところだったろうが、ブラジルとは違って最後まで崩れず自分たちのサッカーを貫徹したところが、ユーロを制した経験の強みが出たのではないか。
今までのドイツの相手は、イングランドにしてもアルゼンチンにしても、さらにはグループリーグのチームにしても、スペインほど高い位置からプレスをかけて来るところが無く、いきなり異なる守り方をして来た状況に慌ててしまったせいか、これまでは正確無比なつなぎを見せていた中盤でミスを頻発し、前半は完全に前に出るきっかけを失ってスペインに対して自陣に張り付くだけになってしまっていた。
また、前線で活発に動き回ってボールを引き出せるミュラーが出場停止で、攻撃ではエジル1人に負担がかかっている状態になり、彼もまた手で扱うかのごとくに正確なパスとトラップでポゼッションするスペインの前に自陣で働かざるを得ない時間帯が長く、スペインの高いラインを打ち破る場面はほとんど作れなかった。
ドイツはそれでも何とか最後の部分で粘って得点を許さずに後半まで持ち込むと、15分ごろからはスペインに攻め疲れが出たのもあって、徐々にドイツが自信を取り戻して前への出足が復活してスペインのパスを寸断、得意のカウンターに持ち込める場面を作り始めたのだが、そういう時にセットプレイでのマークを外してしまってプジョルにヘディングゴールを許してしまったのが痛かった。
後半はドイツがゴメスを入れてパワープレイに持ち込むが、ドイツのクロスもあまり精度が無く、スペインの守備は集中力を切らさずに最後までヘディングの争いで優位に立ち続け、点差こそ最小ではあったが内容的にはスペインの完勝で、初優勝がかかる決勝へと駒を進めた。
スペインは前線の蓋だったトーレスを先発から外したおかげで前線の流動性が格段に高まった事でドイツを圧倒する事ができたが、やはり決勝の相手であるオランダとの戦いを考えると、オランダの中では能力がやや落ちるSBにビジャをウイングにして当てる事ができれば、かなりサイドでの攻防で優位に立てるので、トーレスの復活に期待したいところだろう。
ただ、それはオランダのファンペルシにも言えることであり、ワールドカップ決勝戦の行方は、不調に陥っている両エースストライカーの出来が握っているのかもしれない。