「イタリアの不出来かNZの快挙か」南アフリカ・ワールドカップ グループF イタリア-ニュージーランド(1-1)

この大会を後で振り返る事があるとすれば、まず間違いなく欧州の強豪が苦しんだ大会として記憶される事は確実だろう。
その理由としては、長いリーグ戦での疲労や、夏の北半球から冬の南半球への気候順応の問題、高地+ジャブラニでボールコントロールに支障が出るという理由が考えられるだろう。
確かに、この試合でもイタリアの選手はサイドチェンジのボールを止める時に、しばしばトラップを上に跳ねさせてしまっていて、せっかくのサイドチェンジで作った時間とスペースを、トラップにもたつく間にNZ選手に埋められてしまう場面が多く見られたのを見ても、特にイタリアのように長いパスを有効に使うタイプのチームには、ジャブラニが不利な条件になってしまっているのが確かだ。
しかし本当の苦戦の原因は、冬に大会が行われている事にあるのではないだろうか。
イタリアがオランダやアルゼンチンのようにパスを回せなかったという点もあるだろうが、この試合でのNZは85分になっても試合開始直後のような運動量を見せていた。韓国戦でのアルゼンチン以外は、オランダにしてもスペインにしても、パスワークで相手を走らせて疲れたところで大量点、というパターンを成功させたチームが無い。これが夏の大会であれば、運動量に対するスタミナの落ちはもっと早くなるはずで、ポゼッションできるチームがさらに優位になったのではないか。
という部分を差し引いても、やっぱりイタリアの出来は擁護できないんだけどね(笑)。
中盤のパスワークの要であるピルロがいなくてパスで崩す形がほとんど見られない上に、大黒柱のカンナバーロが全盛期のパフォーマンスからすると考えられないミスで先制点を献上、GKはヒラヒラと軽い反応で安定感にはほど遠く、ペペやディナターレ、ジラルディーノらのFW陣は全てセカンドストライカータイプで、かつてのヴィエリやピッポのような、どんなボールがきてもシュートにつなげる殺し屋がおらず、ましてやトッティ、デルピエロに匹敵するファンタジスタもいない。
もっとも、最後に対戦するスロバキアはパラグアイ戦でもほとんどいいところが無く、期待のハムシクは厳しいマークを受けて何もさせてもらえず、周りのフォローも寂しい限りだったので、このイタリアでもグループリーグ勝ち抜けの可能性は高いだろう。ただ、そこから先は・・・3分けでグループリーグを突破し、最終的に優勝した82年でロッシが見せたような、ヒーローの覚醒があるのかどうか。