「小野と梶山の差」J1第12節 FC東京-清水(2-2)

W杯でのJリーグ中断期間に入る前最後の試合は、首位の清水が下位のFC東京に引き分けて首位をキープして終わった。
とは言え、試合は後半残り5分まで清水が0-2でリードしていたのを追いつかれたものであり、そこまでの内容的には完全に清水のものだった。
後半途中まで、東京のチャンスらしいチャンスは、高い位置でボールを奪ってから早いタイミングで前線が飛び出したところを梶山が合わせるパターンのみで、特に清水が先制点を挙げてからは、相手の早い戻りの前にタラタラとパスを回すだけで、何とか手数をかけてサイド攻撃に持ち込みはするものの、ボスナーを始めとする清水の壁に跳ね返されるだけで、70分間はほとんど得点の匂いを感じなかった。
ところが、赤嶺を投入して3トップにしてから、左サイドのリカルジーニョが個人技のドリブルで清水のサイドを崩せるようになると戦況は一変、サイドを破られると清水DFもPAの中へズルズルと下がらざるを得ず、それによって中盤にスペースが空き、セカンドボールのカバーが遅れて長友に先制点を浴びると、さらにPA内の混戦から松下に同点ゴールを押し込まれる事になってしまった。
清水は小野が体調不良で後半開始直後に下がってしまったが、それによって攻撃陣がボールを溜める場所が無くなってしまい、東京の攻勢に従ってミスも増え始め、ラインをなかなか押し上げられなくなってしまったのが痛かった。この試合でも万全では無いながらも卓越したゲームコントロールを見せていただけに、交代が惜しまれる事となった。が、長年遠藤の在不在の差に苦しんでいるガンバを見ても、小野がいないとお手上げではリーグ制覇はどのみち厳しい。中断期間でのさらなる底上げが望まれるところだろう。
東京は、梶山がからむと多少は攻撃が早くなるが、梶山とて相変わらず小野や遠藤レベルの展開力や存在感にはほど遠いし、DFラインやボランチから正確なサイドチェンジやロングボールが出せないと、サイド攻撃主体のサッカーでやって行くには厳しい。その辺を補強や若手起用でドラスティックに変えていかない事には、中断明けもダッシュとはなかなか行かないような気がする。