「退場からのスタート」ACL2010グループG アデレード・ユナイテッド-サンフレッチェ広島(2-3)

試合の序盤は、これまでの試合のように相手のプレスとボディコンタクトにビビリまくりでボールも人も動かせなくて、スローインからの甘い守備で先制点を奪われた時には、やはりこの試合でもダメなのかと思ってしまったのだが、それがストヤノフの退場で一気に空気が変わったのがサッカーの面白いところだよね。
確かに、ボールホルダーにはフィジカルコンタクトがガツーンと来るけど、ちゃんとそれを予測してボディシェイプを整えて背中に当たられるようにすれば、ボールキープ時に倒されてもファールをもらえる可能性は高くなり、無理に早いタイミングでパスを出してミスをする危険性は低くなる。それに、攻撃的に人を上げてパス回しにチャレンジすれば、それにつれてアデレードの選手も下がるので、多少ミスをしても所詮はアデレードもアジアレベルの決定力なので、それほど大ピンチにはならなかったりするんだよね。結局逆転されたのもセットプレイだし。
ストヤノフの退場で、それまでは横パスを出してパス&ムーブという名の逃げプレイにばかり走っていた広島の選手が、そこからミスを恐れずボールを前に運ぼうとする意欲が高くなり、それが好循環をもたらして一度は逆転するところまで持ち込めたのは、自信喪失状態だった広島にある程度の自信をもたらせたのではないだろうか。
ただ、守備はまだ全然ダメだけどね(笑)。1点目の場面は言うに及ばず、パスコースを切っているつもりなだけで、何のプレッシャーにもなっていない対応が多すぎる。特に、サイドや中央で完全に1対1の射程範囲に入ったクサビは、最低でも相手の体にアタックしてバランスを崩さないと意味が無い。後半途中で、両チームのファール数が表示されたけど、アデレードが16に対して広島はたったの5だった。アウェイである事を考えれば、通常なら数字が逆転しているはずだろうに。
同じパスサッカーのガンバでさえ、アジアでは相手のクサビにはガツガツと激しく行ってるわけで、次のホームでは守備面での「お嬢さんサッカー」を脱却し、ここから3連勝で奇跡を見せてもらいたいものである。