「外人日本人・本田」欧州CLベスト16第2レグ セビージャ-CSKAモスクワ(1-2)

今回、モスクワに移籍して初めて本田のプレイを通して見たけど、今まで欧州に移籍した日本人選手に比べて、これだけ正反対のプレイをしているとは予想外だった。
日本人選手と言えば、オシムが指摘したようにプレッシャーが無いところでのプレイは世界一流でも、ひとたび相手のマークを受けたり、フィジカルコンタクトを食らうとプレイの質ががた落ちになってしまい、それゆえに人が密集しているところから逃げるようにポジションを移してしまう傾向が高かったのだが、本田は全くそんな事を気にするそぶりが無い。
それも、韓国人とか中国人が相手ではなくて、世界でも屈指のフィジカルを誇るコートジボワールのゾコラと競り合っても簡単には負けず、スクリーンしながらのドリブルでボールを数秒キープ出来るのだから恐ろしい。クラシッチやネチドといった他のFWが、まるで大久保や平山のように見えてしまったぐらいだ(笑)。
またVVV時代に比べるとプレイも非常にクレバーになり、トップ下というマークが集中するポジションにおいて、足元へのボールを正確なトラップでマーカーの足が届かないところへ置き、次の瞬間には味方へミス無くシンプルにパスをし、クラシッチやネチドのポジションを見ながら時には躊躇無く前線へと飛び出すなど、プチ・トッティと呼んでもおかしくない働きぶりで、とても冬に新加入した選手とは思えないほどチームに馴染んでいた。
さすがに、後半に本田がFKを決めてリードしてからは前線へのフォローが少なくなり、本田も運動量が落ちて孤立する場面が多くなってしまったが、そこでもボールを簡単に失うことなく少しでも守備を整える時間を稼ごうとしていたのは、隠れた評価ポイントだろう。
あと欲を言えば、運動量をもう一段階上げる事と、ネチドの1点目のように、ワンタッチでマーカーを交わしてシュートまで持って行くようなイメージをもっと持てるようになって欲しいかな。ま、贅沢な要求ではあるけどね(笑)。
セビージャは、右サイドのヘスス・ナバスがモスクワのサイドを完全に蹂躙していたけど、そこからの攻撃があまりに単調で、DFがほとんど上がらずにゾーンを固めていたモスクワの守備を崩す事ができなかった。先発がルイス・ファビアーノの1トップの形だったが、モスクワのCBが高さであまり勝てていなかっただけに、カヌーテとの2トップで最初から圧力をかけて攻めていれば楽な展開に持ち込めたのではないだろうか。
ベスト8の組み合わせ抽選会は今日の午後8時から始まるそうだが、攻撃陣はともかくとして守備にはかなり不安を抱えるCSKAだけに、バルサやマンUが相手では多分勝ち目は無いだろう。優勝候補の中では意外と狙い目かもしれないのがインテルで、チェルシーとの大一番をクリアした緩みが少しはあるだろうし、プレミアやスペインのように攻めて勝ちに来るチームよりは、イタリアのような守って勝ちたいチームのほうが、セットプレイの効果も出やすいはずだ。
いや、何にしてもあと最低でも2試合はこの楽しみが味わえるのはサッカーファンとして本当に幸せだよね。ありがとう、そしてまだまだ頑張れ、本田!