「含み続ける矛盾」キリンチャレンジカップ2010 日本-ベネズエラ(0-0)

シーズン前の2月の試合で、選手が皆万全のコンディションであるはずはないし、もしそうなっても必ず6月までピークを維持できるはずも無いので、この結果と内容については大きく問題に挙げるつもりは無い。
が、本番を見据えたテスト、戦略という意味では、大いに疑問を持たざるを得なかったのが正直なところである。
まず、岡田監督が会見でも述べたサイドをうまく使えなかった点についてだが、小笠原や中村といったチームでセンターを担っている選手をSHに使えば当然予想された事であり、そうなるとSBのオーバーラップがサイド攻撃の主体とならなければならないはずなのだが、中澤がさらに徳永を追い越していかざるを得なかったぐらいに、タイミングの良いオーバーラップをついぞ見ることが出来なかった。
そのため、前半の終わりからはSBを高い位置に上げて、1ボランチに移動した稲本がCBのカバーに入る3バックのような形でサイドの活性化を図ったようだが、W杯で対戦するオランダとカメルーンは、特にサイド攻撃を得意とするチームなので、サイドにスペースを空けてSBの攻撃参加を軸とする戦い方は相当リスキーである。
今までの岡田ジャパン自体の攻撃が、中盤でパスを回して最後はSBがオーバーラップという形に偏重していたので、早々すぐには切り替えられないのかもしれないが、前線と中盤だけでサイドを活用するパターンも身につけないと、本番でさえベネズエラ戦のようなお寒い攻撃内容に終始してしまいかねない。
それなのに、サイドでのプレイを得意とする石川や乾を東アジア選手権のメンバーから外しているのだから、わざわざ有効な選択肢を放棄しているようにしか見えないのだが。
そして相変わらずのチビッ子偏重戦術。
注目の平山は30分だけピッチに立ったわけだが、それまではFWが裏に飛び出してボールを受ける形ぐらいでしか攻め手が無かったのに、明らかに平山が入ってから相手がハイボールから裏を取られるのを嫌ってラインを下げだし、その分中盤にスペースが空いてサイドに早くボールを回せるようになったという矛盾(笑)。
確かに相手が疲れてきた分、平山の働きが目立ったという点もあるのかもしれないが、それなら相手が元気な序盤に平山を使って前線で起点を作り、スペースが出来てからスピードのあるチビッ子を入れたほうがいいと思うのは私だけだろうか?
すぐに東アジア選手権が始まるが、本大会を睨んだ戦略面での前進を是非ともお願いしたいところである。