「個対組織の結末」天皇杯2009準々決勝 名古屋-岐阜(3-0)

天皇杯という場で実現した中京ダービーは、まるで日本対オランダの仮想戦とも言うべき内容と結果になってしまった。
岐阜はまさしく「スモールサッカー」の典型で、前半の30分までは名古屋のポゼッションの前にカウンター狙いしか出来ず、たまに裏に抜け出しても名古屋の1対1での守備能力に封じられてシュートまで持ち込めず、やっぱりJ2の下位だとこんなもんなのかな、と思ってしまった。
ところが30分を過ぎると名古屋のプレスが落ちた事もあるのだろうが、岐阜の選手がどんどんと前線に飛び出すようになり、名古屋のミスを突いてはDFのゾーンの合間を縫ってダイアゴナルの動きをする選手にパスを通し、走るサッカーのお手本とも言うべき内容になったのにはビックリした。
が、怪我から復帰した楢崎が岐阜の決定的チャンスをことごとく防ぎ、逆に前半終了間際に阿倍のシンプルなアーリークロスがケネディのジャンプ最高地点にドンピシャで合ってしまい、岐阜としては防ぎようの無い失点を食らってしまう。
後半の序盤も岐阜の勢いは続いたが、名古屋はサイドチェンジで岐阜のプレスを弱める手段に出始めると主導権は徐々に名古屋のほうに移り始め、22分には杉本からのグラウンダーをケネディが走りこんで合わせて2点目、最後はゴール前の混戦からケネディが蹴りこんでハットトリックを決める活躍で名古屋が勝ちきった。
岐阜としては前半の押している時間帯に先制できていればまた結果は変わったのだろうが、結局は組織と内容で勝っていても、ケネディと楢崎という個の力に屈してしまったわけで、Goal.comではW杯で日本対オランダの試合を0-3と予測しているそうだが、本番もこうなってしまう可能性が高いんだろうな、と思わざるを得なかったね(笑)。
名古屋は杉本やブルザノビッチがあまり働けていなかったけど、攻守の切り替えという面では悪いときよりかは大分調子が戻っているようで、このままケネディと楢崎が好調なら天皇杯優勝>ACL出場枠ゲット、というチャンスは結構ありそうな様子である。次は清水との準決勝だが、今期は1勝1分けと相性の良い相手なので、きっちり勝っておきたいところだろう。