「これがきっかけとなるのか?」 リーガ・エスパニョーラ第12節 アトレティコ・マドリー-エスパニョール(4-0)

完全復調してキレキレのアグエロに完膚なきまでに叩かれてしまい、中村もアグエロにFKを決められてしまうイエローカードを犯してしまうという、結果だけを見れば散々な試合ではあったが、中村の使い方を見つけるという点では収穫があったのではないかと思う。
試合開始から中村はいつもの右ウイングの位置にいたが、エスパニョールには相変わらずビルドアップとパスワークと言う概念が無く、攻撃と言えば単純に長いボールを1トップのタムードに当てるだけで、相手を引き付けてスペースを作るとか、ギャップを作って中盤から飛び出すといったチームによる連動した崩しが無いので、アトレティコは簡単にロングボールを跳ね返し、中村も右往左往するだけでほとんどボールに触れない展開に終始していた。
しかし、前半30分を過ぎたところで中村は3ボランチの右に入り、カジェホンがウイングの位置にシフトした事で中村にボールが渡る機会が多くなり、そこからサイドチェンジや人を動かす散らしの仕事を中村が始めたことでエスパニョールにポゼッションのリズムが出てくるようになった。が、中盤から前線への連携が相変わらずタムードの単調な飛び出しに合わせるだけだったので、結局そこでもほとんどチャンスを作る事は出来なかった。
エスパニョールは2点目を入れられてから、FWにベン・サハルを入れて2トップにし、中村とウルタドのダブルボランチとなった事でロングボールへのフォロー役とパスコースが生まれた事でさらに攻撃にリズムが生まれて良い流れになりつつあったが、ロンカーリャが2枚目のイエローで退場してしまい、その後もアグエロにやられ放題の2点を献上してジエンド。
ここまで頑なに1トップを使ってきたエスパニョールだが、この試合でアグエロに守備をズタズタにされたように、組織的なプレスがかけられずにディレイでごまかす場合が多く、個人技とスピードでそこを突破されてしまうと、陣形を整えるので精一杯な守備陣はマークに混乱するばかりで、いつものGKカメニの奮闘が無ければ、もっと点が入っていてもおかしくない惨状だった。
本来エスパニョールの中盤を支えているデラペーニャが怪我がちで、彼がいないと単なる縦ポンサッカーになってしまってチーム戦術の熟成が図れない現状では、中村にデラペーニャと全く同じ仕事をさせて行くのがベターだと思うんだけどねえ・・・さて、この試合を受けて監督がどう判断するのか、注目だね。