「エースの一騎打ち」欧州CLグループD アトレティコ・マドリー-チェルシー(2-2)

両チーム共に、攻撃を仕掛けながらも常に守備のバランスを崩さない、非常な緊張感の中で無得点が続いていた中、ドログバとアグエロという両エースが均衡をブチ破る2得点でドローという、まさにサッカーの醍醐味を感じさせる劇的な内容だった。
ここまでの3試合で勝ち点1と後が無いアトレティコは、キケ・フローレス監督が就任してどうなるかと思われたのだが、フィジカルとパワーで上回るチェルシーに対して果敢に攻撃を仕掛け、サイドのスペースを使って攻撃を組み立て、守備でも精妙なラインコントロールとドログバへの激しいマークでチェルシーに流れを譲らず、ポゼッションでも優位に立つ戦いぶりだった。
それでも、アトレティコは中盤までは攻め込めても最後のエシエン+チェルシーの屈強なDF陣+世界No.1レベルのGKチェフの壁を破れず、やむなく後半9分に怪我でスタメンを外れていたアグエロを投入。この策が見事に当たり、21分にクロスをテリーが中途半端なクリアでボールを浮かせてしまい、それをフリーでいたアグエロがダイレクトボレーでチェルシーゴールに叩き込む、間違いなく今期CLでのベストゴール候補に挙げられるだろうスーパーゴールを決めてしまう。
すぐさまチェルシーもここでアネルカ、デコを入れてベストに近い布陣に変更、攻撃モードにスイッチ。それでもアトレティコは何とか耐えてはいたのだが、75分を過ぎると徐々に運動量が落ちてラインが上げられずにマークに入るスピードも落ちてしまい、後半37分にとうとうドログバの高さにやられて失点、その6分後にもカウンターからドログバに振り切られて2点目と、アトレティコ的には心が折れる展開になったのだが、さすがアグエロ、ロスタイムにポールを巻くFKで同点に追いつき、エースとしての責務を果たして見せた。
チェルシーにとっては勝ち点的には落としてもいい試合で、アネルカ・デコ・バラックをサブにするローテーションで臨んだが、やはり負けるのには抵抗があったというところか。しかしミラン時代にスタメンとサブの実力差に四苦八苦していた頃に比べると、アンチェロッティもチェルシーでは采配が楽ちんで仕方ないんだろうね(笑)。
アトレティコはポルトが勝ったのでCL敗退が決まってしまったが、選手層的にこれ以上は厳しいものがあったのは確かだろうし、今後はEL枠を目指す事に切り替えるのだろう。まあ、それにしてもアグエロは凄いね。実質、彼一人でこの試合のチケット代のもとを取ってあげたようなもんだろう。彼とメッシを擁していながら、何故アルゼンチンはW杯出場のピンチになったのか本当に理解に苦しむよなあ・・・