「やっぱり大学の存在って大きいんじゃ・・・」天皇杯2009 3回戦 名古屋-鹿屋体育大学(3-1)

だいたい、プロがアマチュア相手に苦戦するのは天皇杯の風物詩なんだけど、全敗で終わったU-17W杯や、最近のユース代表の守備力を考えると、大学がここまで健闘するってのは実は凄い事なんじゃないかと思ってしまう。
鹿屋大は磐田に対して8人できっちりとゾーンを作り、ボールに対して近くにいるゾーンの選手が激しくプレスをかけ、それに連動するように他のゾーンの選手が磐田の選手にぴったり付く守備で、その運動量が落ちないものだから、磐田が打開するには1対1の局面で打開するか、もっと速くて強いパスワークをする必要があったのだけど、この試合の磐田にはどちらも欠けていた。
それでも前半は磐田がボールをキープする展開で、16分に那須がミドルを決めて先制したのだが、後半から鹿屋大が攻勢に出たのと磐田が受けに入った事で試合の流れが変わり、鹿屋大のスピードに磐田の守備陣が度々裏を取られる場面が見られるようになり、ロスタイムに見事なシュートを決められてとうとう同点に。
延長に入って、イグノがボレーを決めてからはさすがに鹿屋大もガックリ来たのか、そこから3点目も決められてジ・エンドになってしまったが、まさにグッド・ルーザーと呼ぶにふさわしい若々しさの溢れる内容だった。
それにしても、即席でチームを作る代表と部活の違いがあるとは言え、日本トップの才能であるユース代表のあのひ弱で腰の引けた守備が、才能では彼らに劣るのに数年でJ1をも苦しめる守備になれるのはどういう事なのかと思うよね。
まあ、Jでも守備は基本的にパスコースをカットしてスペースを埋める事が主体で、まずは人にガツガツ当たる欧州や南米とは1対1に対する意識が違うんだろうけど、それでも鹿屋大の前に出て守る意識ってのはユース代表にはまず見えてこない部分であるのは確かだった。
全世界的な走るサッカーへの傾倒に加え、日本選手の平均的なテクニックの向上と、中堅・ベテラン選手の層が厚くなっている事から、いくら才能があっても対人スキルや運動量の意識に欠ける選手は使われない状況になりつつあるだけに、クラブユースの育成もそういう部分を重視して行かないといけないんだろうね。