「点取り屋の不在」リーガエスパニョーラ第5節 エスパニョール-シェレス(0-0)

ホームで最下位相手にスコアレスドローと聞けば、かなり内容的にしょぼかったように思われるが、前半の初めにあった決定機をきちんと決めていれば、それほど苦労する試合では無かったはずだ。
しかし、そこで点を決め切れなかったことで、それ以降は完全にスペースを塞いでしまったシェレスに対して攻めの糸口が見つけられず、エスパニョールのビルドアップは相変わらず連動性が無く、誰かがボールをもらいに引いてくる動きをしても、そこでボールがもらえないと動き出しをせずにそこで足を止めてしまうので、2人目、3人目の動きにつながらなくて結局はプレスをかけられてボールを戻すか、ロングボールを蹴る羽目になってしまうのだ。
それでヘディングが強い選手や勝負強いゴールゲッターがいれば別だが、タムードは怪我でいないしイバン・アロンソはプレイのブレが大きく、売り出し中のコーロやカジェホンは、この試合については安定性を欠いてしまっていた。
また、中村自身の発言にもあるように、他の選手が左にボールを集めがちになっている上に、マイボールのときに中村が中に入って作ったスペースにSBが上がるという動きが無く、中村がぽつんとサイドで1人いて相手のSBもスペースをカバーしている状態では、よほど精度とスピードがあるサイドチェンジでも来ない限り、中村の出番が無くなってしまう。
後半になって、相手にスペースが出来始めると中村が中に入ってから裏へのパスを出したり、中村が前にスペースが出来た状態のサイドでボールを受けて、そこからファーにパスを出したりドリブルで溜めてパスをしたりと出番が増えはしたが、やはりそれはどちらかと言うとボランチから後ろの選手がやるべき仕事であって、1回だけミドルを打つ場面があったが、アシストやチャンスメイクではなくて、もっと自分で得点するような場面を作る意識が必要だろう。
このチームで中村が最も生きるのはボランチの位置なのかもしれないが、それなら今のようなコースを消すだけで体を当てに行かない守備をやっていたのではどのみち無理な話だ。
宗教上の理由で欠場が噂されていたベン・サハルは結局途中出場だったのに対し、中村はフル出場と、優先順位がどうだったのかは不明だが、少なくともまだ監督に信頼が置かれているのは確かだろうから、もっともっと貧欲&アグレッシブになって欲しいところである。