「これぞ三浦サッカーの真骨頂」J1第22節 神戸-鹿島(1-0)

ようやく連敗を脱出して首位を固めたい鹿島と、監督人事のゴタゴタで降格ゾーンが目の前に迫っている神戸という興味深い対戦だったが、わずか30秒でスローインからのこぼれ玉をゴールに蹴りこんだ大久保の先制点で、一気に試合の行方が分からなくなった。
そこから30分は完全に神戸のペースで、守備陣はボールを奪うとすぐに中盤に返し、中盤はボールをキープせずに早いタイミングで前線のスペースへとパスを送る攻撃で鹿島の守備陣を下げさせ、距離が開いた中盤の縦パスを狙ってプレスをかける戦術が機能し、何度か惜しいシュートを放ったものの、神戸も追加点を奪う事が出来なかなった。
前半の終わりごろから、鹿島もあまり攻め急ぎをせず、さすがにマルキーニョスと比べると見劣りする大迫や興梠のポストを捨てて、パスをダニーロや野沢のサイドに集めてオーバーラップを仕掛ける分厚い攻撃を見せると、神戸もなかなか押し上げが出来なくなり、たまに鹿島のミスからカウンターという場面は作るものの、大方は神戸の防戦一方という展開になってしまう。
しかし鹿島もセットプレイからフリーでシュートを放ってもゴールの枠を捉えられないなど決定力に欠け、神戸もベタ引きになりながらも何とか3ラインのブロックを堅持して鹿島の攻撃を跳ね返し続け、ロスタイムの3分を含めた93分間を、まさにスミ一で守りきって神戸は大観衆に応える大きな勝利を挙げた。
鹿島はマルキーニョス、本山らの主力が欠場していた影響はあったのかもしれないが、それほど無茶苦茶悪いサッカーをやっていたという訳ではなく、やはりここは鹿島の攻撃を防ぎきった神戸の守備を褒めておくべきだろう。特に、30分までの戦い方は急造戦術とは思えないほど統一されており、その辺はさすがチームが危機的な状態であるほど力を見せる三浦監督らしいところだね。
今節は川崎と新潟が破れたために、まだ鹿島の優位は揺らがないが、ガンバと清水、そして広島がACL戦線に加わってきたので、まだまだここから波乱は十分ありそうである。