「ヒディンクマジック潰える」欧州CL準決勝第2レグ チェルシー-バルセロナ(1-1)

第1レグで90分間完全に守り倒したチェルシーだったが、この試合ではさすがにホームとあってスタートから比較的前に出るサッカーで始まった。
が、開始わずか8分でDFに当たった浮き球をエッシェンがダイレクトボレーでスーパーゴールを決めてしまい、そこからはまたもチェルシーが「試合を殺す」展開に終始してしまった。
バルサはアンリ・マルケス・プジョルが欠場したために、3トップはイニエスタ・エトォ・メッシ、CBにトゥレ・ヤヤが入り、中盤はケイタ・ブスケ・シャビという布陣で臨んだが、これが全く攻撃で機能せず、ひたすらスペースを潰してフィジカルを生かしたマーキングを行うチェルシーの守備に対して、メッシやエトォは存在を消され、ケイタやブスケはほとんど気の効いたパスが出せず、明らかに力みが見られたダニエウ・アウヴェスが不正確なクロスをむやみに送るだけで、試合を通じて枠内シュートはわずか1本という体たらくだった。
守備面でも、ドログバへのロングボール攻撃に対してバルサのCBは無力で、何度もこぼれ球をマルダやアネルカに拾われて鋭いカウンターを食らい、ドログバのGKとの1対1を始めとして何度も決定的な場面を作られてしまう始末だった。
そんな風にチェルシーにとっては完璧な試合運びだったが、バルサDFアビダルへの厳しすぎる一発レッドが、逆にチェルシーにとっては仇になってしまったのだからサッカーは面白い。
10人になったバルサは、これで逆に吹っ切れたのか、選手一人一人がボールを持つ時間が短くなり、短く早いパス回しでフリーな選手を作り出し、それまでは消されていたメッシが輝きを見せ始め、それに呼応してイニエスタも本来の牛若丸のようなプレイを見せ始める。
それでもカウンターからチェルシーは何度もチャンスを作り出し、PKをもらってもおかしくないピケのハンドの場面もあったのだが、主審は退場とバランスを取るためかこれを見逃し、そしてロスタイムに劇的なイニエスタのゴールで同点。アウェイゴールの差でバルサが決勝進出を決めた。
確かに審判の判定は不安定で、到底CLの準決勝を裁くレベルには無かったとは思うが、チェルシーの選手が執拗に抗議したPKの見逃しは、気持ちは分かるがあの程度の判定はしばしば見られる事で、やはり決めるべきチャンスに決められなかった詰めの甘さを敗因とすべきだろう。
バルサも勝ったとは言え、180分間はほとんど自分たちのサッカーをさせてもらえなかったわけで、守備力についてはチェルシーに匹敵し、攻撃のスピードではさらに上のマンU相手にかなりの不安材料を抱えたままで決勝に臨む事になる。とりあえずはアンリやプジョルが復帰してベストで戦えるかどうかがまず第一の目標だろう。