「熟成ゆえの弱み」ACLグループG 水原-鹿島(4-1)

シーズンの最初で好調なスタートを切った鹿島だったが、またしても国際試合に弱いと言う欠点をさらけ出す羽目になってしまった。
とは言え、序盤の鹿島のサッカーは悪くなかった。韓国デフォルトのハイプレスに対して短いパスで苦しそうに逃げのボールを回していた名古屋とは違い、選手を1人飛ばした大きなパス回しと積極的なスペースへの飛び出しで水原のペースに持ち込ませず、いつもの成熟した試合運びを見せていた。
が、前半の30分頃から鹿島の選手に「ペースを落としたい」という意識が出始めたのか、突然鹿島のサッカーがゆっくりとした動き出しとパス回しになってしまい、当然そうなるとハイペースを続けている水原がセカンドボールを支配し始め、前半終了間際にセットプレイのこぼれ球を押し込まれ、またすぐにカウンターから2点目を決められてしまった。
後半になると鹿島も攻撃的に出るようにはなったのだが、スーパーカップや序盤に見せていたような攻守の切り替えの早さは復活せずにずるずると時間は過ぎていき、焦りなのか疲れなのか最後には守備でのつまらないミスを狙われて駄目押しの2点を追加され、ロスタイムにかろうじてマルキーニョスが1点返しただけの惨敗であっけなく終了。
鹿島の強みは、個々の選手が有機的なコンビネーションで攻守の両面に渡って素早く連係する、まさにブラジルサッカー的なチームの成熟度にあるわけで、前半の終わりに見せた意図的なペースダウンも、まるでイタリアのビッグクラブを見るような阿吽の呼吸・統一感で、いかにも成熟されたチームなんだなという印象が感じられた。
しかし、当然ながらここは日本ではないわけで、Jなら鹿島のペースダウンにどのチームもいなされて釣られてペースを落としてしまうのだろうが、水原や昨年の北京、アデレードのように、日本では経験できないフィジカル・玉際の強さ・試合ペースで来られると、徐々に鹿島の意図からは外れた展開になって歯車が狂ってしまい、結局はチームが統一感を失ってバラバラになってしまうのが、鹿島がアジアで弱い原因なのではないだろうか。
そういう時に必要なのが、いつもとは違う事態・相手に対して適切にピッチで指示を出し、選手を鼓舞するリーダーであり、その意味でも小笠原の不在は大きかったと言える。つーか、曽ヶ端って何であんなに国際試合になるとオドオドしたプレイになるのかね? まさか五輪のトラウマとかね・・・(笑)
まあ、名古屋も少し運が悪ければこういう結果になっていただろうし、この試合だけを見てもう鹿島はダメと言うつもりはもちろん無い。幸い、まだ鹿島はグループ最強と思われる相手に対してアウェイで負けただけだ。鹿島のブラジルサッカーは、リーダーはもちろんだが基本的には選手個々の経験と判断で対処していくチームなだけに、この試合を糧としてアジアで勝つためのサッカーを練り上げなおして次につなげて欲しいところだ。