「スペインと日本の本質的な差」国際親善試合 スペイン-イングランド(2-0)

遅行でパスをまわして攻めるスペイン、カペッロ式にコンパクトで固い守備から速攻のイングランドと、戦い方としては全く日本対オーストラリアと同じ図式となった試合。
試合の序盤はイングランドのコンパクトで激しい守備がスペインを苦しめ、ヘスキーの飛び出しやショーン・ライト・フィリップスのドリブルなどで有効な攻撃を繰り出したが、36分にスペインはシャビからの縦パスを走りながら受けたビジャがイングランドCBのテリーとジョンソンを足に吸い付くようなドリブルで抜きさり、GKジェームズが見送るだけの素晴らしいゴールを決めて先制する。
後半になってイングランドは代表に復帰したベッカムやランパート、クラウチを入れてポストプレイから中盤で組み立てるサッカーに方針変更し、スペインもペースを落としてきたのもあって度々チャンスを作るが決定力に欠けて得点出来ず、徐々にイングランドもペースが落ちてしまって最後はFKからジョレンテにフリーで抜け出されて2点目を決められ、試合はそのままタイムアップ。
イングランドは運にも欠けていたが怪我でジェラード、体調不良でリオ・ファーディナンドを失っていたのが響き、速攻はまずまず良かったけどそこからセカンドボールをなかなか支配する事が出来ず、スペインのパス回しに最後は疲れて駄目押しを食らうという、何ともパッとしない試合運びだったね。
とは言えスペインがフルパワーで無いにせよ素晴らしかったのは事実で、相手ゴール前ではほぼワンタッチで高速パスを回し、トーレスとビジャはボールを受けたらどんなにスペースが無くても常にゴールへの最短距離でプレイしようとするテクニックとアイデアを見せ付け、同じ遅攻をしたがる日本とは実効性に雲泥の差がある事を見せ付けられてしまった。
今の日本にトーレスやビジャに匹敵するタレントがいない以上、W杯でベスト4を本当に目指すのであれば、じっくりとパスを回してもせいぜいサイドを破ってみせるのが関の山である日本がスペインを上回るのはどのみち不可能である事は間違いなく、遅攻以外の日本独自の強みというビジョンを見出してもらわなければ、国民の支持、代表の人気回復にはつながらないのではないか。
岡ちゃんは日本人だからとか顔で損してる(笑)とかの意見がそこかしこで湧き出ているが、自由とか接近・展開うんぬんといったお題目にも、仏W杯以来続いているパス回しは通用しているといった敢闘賞にも皆飽き飽きしてるのだ。必要なのは、これで世界に勝てるんだ、勝負するんだという現実的なビジョンである。その答えは、まだ岡田ジャパンからは見えてこない。