全国高校サッカー選手権 前橋育英-國學院久我山(1-0)

攻撃力の國學院と組織の前橋という対決だったが、点差以上に個人の能力でも前橋が完全に上回っていた内容だった。
國學院の田邉、川久保の2枚看板のスピードはかなり強力ではあったが、前橋は組織的なプレスとボールへの素早い反応で完全にボールを支配し、彼らにほとんどプレイさせる隙を与えなかった。また、彼らもただ前橋のDFラインに張り付くだけで中盤からボールを引き出すようなプレイが出来ておらず、FC東京入りが決まっている田邉もドリブルで突っかけては倒れてアピールを繰り返す、ちと情けないプレイぶりだった。
それよりも驚いたのが前橋の攻撃スキルの高さで、駒沢競技場の荒れたピッチに國學院の選手がなかなか適応できていなかったのに対し、前橋の選手は無理に早いパス回しをしようとせず、各選手が次のプレイを考えてトラップし、相手のマークが付いていても体をスクリーンさせてしっかりボールを前に運ぶ落ち着きぶりが見事だった。その上、ボールの逆サイドには常に誰かが攻めあがっており、そこから六平を中心とした中盤から正確なサイドチェンジが来るのだから、これは強いはずだ。
ただ、残念なのは國學院に対して20本ものシュートを放ちながら1点しか取れなかった決定力不足。決勝点を挙げた、ザスパ草津入りが決まっている佐藤も、スピードと細かいテクニックはあるけれどフィジカルとパワーは物足らず、プロに入っても最初はかなり苦労しそうな感じだった。
次は優勝候補筆頭、世間の注目を一身に集める超高校級ストライカー大迫を要する鹿児島城西が相手だが、この試合と同じように組織で圧倒して大迫を孤立させられるかどうかが、前橋にとって勝負のカギだろう。